小児の「発熱」に対する考え方
一般的に、子どもでは「体温37.5℃以上」を発熱と考えます(平熱より1℃高い場合を発熱として対応することもあります)。
幼児で39℃以上の熱が出ることは珍しいことではなく、熱の高さと病気の重さは必ずしも関係ありません。高熱だけが原因で脳の障害はおきませんのでご安心ください。
子どもの発熱原因の殆どは感染症です。熱が2~3日程度続くことがありますが、その後自然に解熱することがほとんどです。
発熱原因のひとつであるウイルス感染症は「熱」に弱いため、発熱は体の免疫反応の結果であり、高熱を出すことで病原体と戦っていると考えると良いでしょう。そのため、急いで・あわてて熱を下げる必要はありません。
体温測定のしかた
・わきが汗でぬれているときは汗を拭きとってから測りましょう。
・体温は日内変動があります。朝方は低めで夕方高くなります(元気な時でも0.5℃くらいの差があります)。
→ 風邪をひいて熱を出すと日内変動の上下がさらに大きくなります。翌朝熱が下がっていても、もう一日お休みして様子を見ると良いでしょう。
・部屋の温度や厚着の影響で、高く測れてしまうことがあります。
・運動後、食事をした後は体温が高くなります。

*普段から、お子さんの平熱を知っておくことも大切です!
ホームケアのポイント
ポイントは「こまめな水分補給」と「温度調節」です。
- 体温をこまめに測定しましょう。
- (前日発熱していた場合)午前中解熱していても、午後からまた発熱する場合が多いので午前中のうちにかかりつけ医を受診しましょう。
- 元気であれば、入浴は可能です。ぬるめのお湯かシャワーで短時間のうちに済ませましょう。熱が高くつらいときは、入浴・シャワーは避けて、温かいタオルで体を拭きましょう。
- 脱水を予防する目的で、水分補給はこまめに行いましょう:経口補水液(OS-1等)、乳幼児用イオン飲料、お茶、湯冷ましなど。お子さんの好きなもので構いません。
- 発熱初期で、寒気がして震えている場合はこれから熱が上がるサインなので保温しましょう。手足や顔が熱く・真っ赤になってきたら薄着にして、血流量の多い首筋や脇の下、足の付け根を冷やしてあげましょう。氷まくらなどをタオルでくるんで首の周りやわきの下にあててあげると効果的です。ただし、お子さんが嫌がる場合は無理に冷やす必要はありません。
- その他:汗をかいてそのままにしていると体が冷えてしまいます。汗をかいたらその都度取り替えましょう。着せすぎや暖房のため体温が上がっていることがあります。着せるものや室温にも注意しましょう。
解熱薬の使い方
現在、解熱薬として主にアセトアミノフェン(商品名:カロナールシロップ・細粒、アンヒバ坐薬/アルピニー座薬など)が使われています。使用する解熱薬は診療所/病院で処方されたものか、薬局で購入する場合は「アセトアミノフェン製剤」と薬剤師にお伝えください。
解熱薬には「病気を治す効果」や「けいれんを予防する効果」はありません。体を楽にするために使用します。熱のせいで水分がとれない、機嫌が悪くて眠れない、頭や関節が痛くてつらい時にご使用ください。高熱であっても、元気で食欲がある場合は無理に使用する必要はありません。
一般的に、解熱薬を使用する体温の目安は38.5度以上です。5~6時間以上の間隔をあけ、1日2回くらいまでを目安に使用しましょう。また、高熱のときに解熱薬を使用しても1.0-1.5℃くらいしか解熱しないこと(解熱薬使用後も38.5℃という状況)があることをご留意ください。
尚、体温調節機能が未熟である生後6か月未満の乳児に、原則として解熱薬を使用することはありません。クーリングなどを適宜行いましょう。
受診の目安
すぐに受診した方が良い場合
- 生後3ヵ月未満の発熱
- ぐったりして様子がおかしい
- 顔色が悪い
- 呼びかけてもぼんやりしている(眠ってばかりいる)
- 息づかいなどが苦しそうな時
- 何度も嘔吐する
- 水分をとらず、半日以上おしっこがでていない
- 初めてけいれんした
診療時間内に受診しましょう
- 機嫌がよく元気があり、食欲もある
→ 比較的元気で水分摂取が出来ている場合は、夜中等に緊急受診する必要はありません。
- 元気でも3~4日以上熱が続いている
→ 元気であっても、発熱の原因を調べる必要がある場合があります。
受診の目安が分からないときは?
日本小児科学会が監修したHPです。子どもの症状別に、受診するかどうか判断の目安が分かりやすくまとまっています。
判断に迷ったら、是非参考にしましょう!
解熱薬の使い方2024


