発熱、吐き気・嘔吐、下痢症状が揃った場合、感染性腸炎(主にウイルス性;ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等)である可能性が高いと思われます。突然の嘔吐から始まり、続いて下痢症状、時に発熱が認められます。
お子さんが吐き続けてしまい経口摂取出来そうもない場合や脱水症状が強い時は点滴や入院が必要になります。なるべく早く対応しましょう。
ホームケアのポイント
安静に努めましょう
お子さんが吐いた後は横向きに寝かせて、背中を静かにさすってあげましょう。吐いたものがつまらないようにしておくと安心です。
抱っこするときは縦に抱き、身体を動かさないようにしてください。 車酔いや、かぜによる頭痛で吐いたときは、横になって安静にさせましょう。
食事・水分を与える際の注意点
吐き気が強い時
嘔吐してすっきりした後、お子さんによっては食べ物を欲しがることもありますが、飲物や食べ物をすぐにあげないようにしましょう。すぐに食べさせてしまうと、また吐いてしまうことが多々あります。30分~1時間は何もあげずに様子を見ましょう。
どうしても水分を欲しがる時は、口をすすぐ程度にしておきましょう。
吐き気が落ち着いたら
- 水分から与え始めましょう。まずは水やお茶よりも、経口補水液(OS-1、アクアライトORS)が良いでしょう。
- 慌てず、少しずつ、こまめに飲ませることがコツです。最初はティースプーン1杯(5ml)程度から始め、5-10分おきに根気強く飲ませましょう。
- 1時間程度経っても嘔吐しなければ、徐々に与える水分量を増やしてください。3~4時間は慌てずに、ゆっくり摂取することを心掛けましょう。
- その後、水分を飲ませても嘔吐しなければ、自由に飲ませても構いません。
#途中で嘔吐してしまった場合は、また最初に戻り、胃を十分休めてから水分摂取を再開しましょう。
#柑橘系のジュースや炭酸飲料は嘔吐を誘発する可能性があるため避けましょう。
水分がとれるようになったら
1日に必要な水分をきちんと摂取できるようになってから、消化に良い食べ物で食事を再開しましょう。やわらかく調理した料理が良いと思います。
食べられるようになっても、胃腸の動きは完全に回復している訳ではありませんので、普段の量を何回かに分けて少しずつ与えるようにしましょう。
受診の目安
- 嘔吐・下痢症状が強く(5~6回/day以上)、半日以上(8~12時間程度)水分摂取が出来ない
- 唇、口腔内や舌が乾き、泣いたときに涙やよだれが出ない
- おしっこの量・回数が少なく尿の色が濃い
- 唇が真っ青など、顔色が悪い
- 活気がない、機嫌が著しく悪い、ボーっとしていて遊ばない
- 吐いたものが緑色
- 便に血が混じる(血便)
受診の目安が分からないときは?
日本小児科学会が監修したHPです。子どもの症状別に、受診するかどうか判断の目安が分かりやすくまとまっています。
判断に迷ったら、是非参考にしましょう!
ご家庭での感染対策
簡単にできる感染対策
手洗いを細目に、きちんと行いましょう。下痢・嘔吐の症状がある人と食器、タオル・手ぬぐい等を共用しないようにしましょう。
ウイルスを含んだ吐物が床などに落ちて乾燥すると、ウイルスが空気中に漂ってしまい、それを吸い込むことで感染してしまうことがあります。部屋の換気を細目に行うと同時に、汚物を乾燥させないことが重要です。出来るだけ早く処理するように心がけましょう。
汚物処理の方法
- 嘔吐物や便を処理するときは、使い捨ての手袋・マスク・エプロンを必ず着用しましょう。
- 嘔吐物や便の上にペーパータオルや新聞紙などをかぶせます。
- その上から消毒液を十分浸るように注ぎ、汚物による汚染範囲を拡げないように、外側から内側に向かって拭き取ります。
- 処理した吐物や下痢のオムツは、拭き取ったものごと、すぐにビニール袋へ入れます。全部袋に入れたら袋をしっかり縛り廃棄します。
- 最後に水拭きを行います。処理後はしっかり手洗いを行いましょう。

消毒液の作り方
500mlのペットボトル1本分の水に、ペットボトルのフタ1杯分(5ml)の塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど次亜塩素酸ナトリウムと表記してあるもの)を入れて作成します。消毒用アルコールや石鹸はノロウイルスには効果がありませんのでご注意ください。
子どもが誤飲しないよう、必ずラベルを貼りましょう。使用したら作り置きはせず、使い切るか、使用後速やかに捨てて下さい。
消毒の仕方
消毒液を布やキッチンペーパーに含ませて、水道・ドアノブ・トイレ・洗面台などの汚染しやすい箇所をを中心に拭き取ります。時間がかかると金属部分がいたむ可能性があるため、10分くらいで終わらせましょう。消毒を行う際は部屋の換気も忘れずに。


