坐薬とは?
錠剤や粉、シロップなどの飲み薬は口から入れて、食道、胃を経由して、小腸まで届いて吸収されます。それに対して、坐薬は肛門から入れて、すぐ近くにある直腸粘膜から吸収される、または直腸のみに効果を現すタイプの薬です。
このため、坐薬は飲み薬に比べると吸収されるまでの時間が短く、効果が早く出てくるとされています。飲み薬を嫌がったり、うまく飲めなかったりする場合には、坐薬はとても使いやすい薬です。座薬の種類には解熱鎮痛薬・吐き気止め薬・抗けいれん薬などがあります。
坐薬の使い方
座薬の挿入前
排便が近ければ、先にすませてしまいましょう。
使用前後で手を洗いましょう。冷蔵庫から出してすぐ使用すると腸が刺激され便意を催してしまうので、室温に戻すか、開封前に手で温めておくと良いでしょう。
挿入する前に、坐薬の先端に水やオリーブオイルをつけておくと、滑りやすくなり座薬挿入時の刺激が少なくなります。
座薬の挿入・挿入後
- 乳児の場合、仰向けにしオムツを替えるポーズをとって、両足をしっかり持ちあげます。嫌がる場合や大きなお子さんの場合は、横向きになり、両ひざを曲げます。
- 坐薬のとがった方から肛門へ入れます。このとき入れる深さの目安は、指の第一関節が入る程度です。
- 入れたら30秒ほどティッシュで肛門を押さえて出ないようにしましょう。
- 上げていた足をもとの状態に戻すと、坐薬は自然と奥まで入ります。
- 坐薬を入れてから20分くらいは激しい遊びは避けるようにしましょう。解熱剤の場合は30分ほどしたら体温を測定して、効き目を確認しましょう。解熱薬を再度使用する場合は、6時間以上あけ、1日2~3回までにしましょう。
こんなときどうする? Q&A
坐薬はどうやって切ればいいの?
包装を外さずに、そのまま清潔なはさみやカッターで切りましょう。座薬が冷たまま切ると、坐薬が割れてしまうことがあるので、常温に戻すか、手で温めてから切るとよいでしょう。
下図に坐剤の切り方の例を示します。定規などで測る必要はありません。薬の投与量には幅がある(体重1kgあたり10~15mgなど)ので、目分量で構いません。

切った後は、もともと先がとがっている上部の方を使いましょう。下部の残り部分は断面が整っていないので挿入に適しておらず、衛生面からも保管せずに廃棄しましょう。
坐薬を入れて便が出てしまった場合、どうする?
出てきた坐薬が固形の形を保っている場合は、出てきた坐薬を再び入れ直しましょう。
崩れた状態や溶けている状態だと、薬がすでに吸収されている可能性が高いので、入れなおさずにそのまま様子を見ましょう。指で持てる硬さかどうかを、目安にすると良いでしょう。
座薬を挿入した後に排便があった時は、便の中に坐薬が残っているかを見ましょう。形がなかったり、液状になっていたりする場合は、薬がすでに吸収されている可能性が高いため、追加挿入しない方が良いでしょう。
座薬の保存方法は? 使用期限はありますか?
体温で溶けるので、基本的には冷蔵庫保存です。室温保存可能な坐剤もありますが、夏期などは高温をさけるように保存してください。
坐薬にも使用期限があります。特別に説明がない場合、坐薬の使用期限の目安は約1年間と考えましょう。処方されて1年を経過した薬剤は廃棄してください。
2種類の坐薬を使う場合、どうしたら良いの?
医師から指示を受けている場合は、医師の指示に従いましょう。
医師からの指示がとくにない場合は、30分以上間隔をあけて使用しましょう。
よく見られる処方に抗けいれん薬(ダイアップ座薬®)と解熱鎮痛薬(アンヒバ/アルピニー/カロナール座薬®)の併用があります。この場合は、まず抗けいれん薬であるダイアップ座薬を使い、30分以上あけて解熱鎮痛薬を使いましょう。特に指示が無ければ、原則として「緊急を要するものを先に使う」と覚えておくと良いでしょう。
兄弟姉妹など、別の子に同じ症状が出た際、使用しても良いですか?
多くの薬剤は子どもの体重にあわせて投与量を調節する必要があります。処方された薬剤は、処方されたお子さん以外の別の子どもには使わないでください。
市販の座薬は、対象となる子どもの年齢に注意して、用法用量を守って使用しましょう。

