慢性外来で呼吸機能についてふれることがありますが、ふと感じた疑問。

「呼吸機能のピークはいつなのか?」

今回はそんな疑問について調べてみました( The Lancet. Respiratory medicine. 2025 Jul;13(7);611-622)。

General population-based lung function trajectories over the life course: an accelerated cohort study – The Lancet Respiratory Medicine

 

欧州とオーストラリアの一般住民を対象としたコホート研究8件のデータを統合した加速コホート研究です。

呼吸機能、喫煙状況、BMI、喘息診断に関する2回以上の記録がある3万438例(女性1万5,703例、男性1万4,735例)を対象として、4~80歳のFEV1、FVC、FEV1/FVCの経過を調べました。

 

その結果、FEV1とFVCはいずれも2段階の増加を示し、女性は20歳、男性は23歳でピークに達していました。

【1秒量(FEV1)】
女性:13歳まで234mL/年、その後20歳でピークに達するまで99mL/年の速さで増加し、以降は26mL/年の速さで低下。
男性:16歳まで271mL/年、その後23歳でピークに達するまで108mL/年の速さで増加し、以降は38mL/年の速さで低下。

【努力肺活量(FVC)】
女性:14歳まで232mL/年、その後20歳でピークに達するまで77mL/年の速さで増加し、以降は26mL/年の速さで低下。
男性:16歳まで326mL/年、その後23歳でピークに達するまで156mL/年の速さで増加し、以降は42歳まで22mL/年、その後は36mL/年の速さで低下。

【FEV1/FVC】
FEV1/FVC比は、男女共に4歳から生涯を通じて低下。

 

そのほか、喘息が持続している集団では、喘息歴のない集団と比較して、男女共にFEV1のピークが早期化していました(女性:17歳vs.20歳、男性:19歳vs.23歳)。また、喘息が持続している集団は成人期を通じてFEV1が低く、生涯にわたりFEV1/FVCが低かったことが分かりました。喘息が持続している集団におけるFVCのピークの早期化は、女性のみで観察されました(18歳vs.25歳)。そして、喫煙を継続する集団は、喫煙歴のない集団と比較して、男女共に30代半ば~後半からFEV1およびFEV1/FVCの低下が加速していました。

 

以上から、1秒量(FEV1)および努力肺活量(FVC)は2段階の増加を示し、20代前半でピークに達した後、プラトーになることなく、低下し始めることが示されました。また、1秒率(FEV1/FVC)は4歳から生涯を通じて低下し続けることも分かりました。

 

生涯を通じた呼吸機能の経過に関する知見はとても貴重です。

日本人でのデータはどうなのか知りたいところですねw (小児科 土谷)