院長先生のブログ
蚊によってもたらされる病気
梅雨から夏にかけての蒸し暑い時期は、蚊に刺されやすいので、個人的には嫌な季節です。
これまで日本では、蚊に刺されて病気に感染することは稀でしたが、デング熱、ジカ熱、西ナイル熱、チクングニア熱などの熱帯感染症は、日本にも生息しているヒトスジシマカによって広がるため注意が必要で、そのヒトスジシマカの生息域は本州全体に広がりつつあります。
ヒトスジシマカの生息域拡大は日本だけの問題かというと、そうではないみたいです。
Nature Briefingによると、ヨーロッパでもこのヒトスジシマカの生息域がどんどん広がりつつあり、この蚊が媒介する感染症がヨーロッパに拡がっていくのではないか、と懸念されています。
Daily briefing: How Colombia plans to tackle its invasive hippo problem (nature.com)
2013年時点ではこのヒトスジシマカの生息域がヨーロッパ南部に限られていましたが、2018年~2023年と温暖化が進むにつれて、生息域が次第に北上し、この蚊がすでにヨーロッパ中南部一体に定着していることが示されています。
以上から、将来このヒトスジシマカが媒介する病気がヨーロッパでも広がっていくことが容易に予想されるのと同時に、これらヨーロッパ諸国と交流の多い国(日本も含まれる)でも、ヒトスジシマカによって媒介される熱帯病が持ち込まれ、国内のヒトスジシマカを介して感染拡大する可能性が考えられます。
残念ながら、これらの熱帯病には良いワクチンや治療薬が未だ存在しません。
地球温暖化が叫ばれる今、これらの感染病に対する方策(対策作り)をしっかりとしておくことが求められます。 (小児科 土谷)