院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑮-
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Long COVIDの機序として、腸脳連関による脳障害が指摘されていますが、今回はそれに関連した論文(Endosc Int Open. 2024 Jan 5;12(1):E11-E22.)です。
Thieme E-Journals – Endoscopy International Open / Abstract (thieme-connect.com)
COVID-19の既往のある患者における持続性腸内感染の陽性率について検討した研究です。
対象は上部消化管内視鏡検査で生検を受けた166例と下部消化管内視鏡検査でに生検を受けた83例です。
ヌクレオカプシド蛋白に対する免疫染色陽性の頻度は、上部で37.34%、下部で16.87%で、有意に上部で高かった(P = 0.002)ことが分かりました。
また、喫煙者および糖尿病患者では、持続的なウイルス腸内感染のリスクが高い可能性があることも分かりました。
以上から、腸管粘膜組織は感染後の数ヵ月間、SARS-CoV-2ウイルスを保持する(腸管粘膜組織はSARS-CoV-2ウイルスのリザーバーである)ことが示唆されました。
有望なlong COVIDの治療薬がない現状では、腸内細菌叢の障害を改善するのもひとつの「手」かもしれませんねw (小児科 土谷)