院長先生のブログ
long COVIDの病態 -その他⑰-
Long COVIDにおける労作後倦怠感の病態機序を検討した論文(Nat Commun. 2024 Jan 4;15(1):17.)を紹介します。
Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID | Nature Communications
COVID-19患者25名を対象とした縦断的症例対照研究です。
これらの患者では広範な骨格筋の傷害を認め、患者の運動能力の低下と関連していました。さらに骨格筋のミトコンドリア機能異常と代謝障害が認められ、労作後倦怠感の誘発後に悪化しました(→Long COVID患者にとって激しい運動は良くない)。
また、アミロイドを含む沈着物を筋線維の間に患者でより多く認め、この所見は激しい運動を行うと増加しました。
ウイルスの持続感染が関与している可能性を考え、ヌクレオカプシドタンパクを免疫染色で評価したところ、long COVID患者と感染後に回復した人は同程度でした。
今のところ、long COVIDによる労作後倦怠感を軽減するためには、激しい運動を避けるしかないみたいです。今後も変異株による「波」を繰り返すことが想定されますので、流行状況に応じた感染予防策とワクチン接種を心がけましょう。 (小児科 土谷)