院長先生のブログ
座りっぱなしは体に良くない
2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインには「座り過ぎ」が健康を害することが明記されています。
長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響するのでしょうか(JAMA network open. 2024 Jan 02;7(1);e2350680.)。
1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究で、職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集し、データ解析を2020年12月に行いました。主なアウトカムは、3段階の職業的座位量(ほとんど座っている、座っている・いないを交互に繰り返す、ほとんど座っていない)に関連する、全死因死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率でした。全参加者、および5つのLTPAレベルと個人活動知能(PAI:身体活動に対する心拍数応答に基づく新たな身体活動計量)の指標を含む、サブグループ別のハザード比(HR)を算出しました。
その結果、48万1,688例が対象になり、平均年齢は39.3歳、女性53.2%でした。平均追跡期間は12.85年で、追跡期間中に2万6,257例が死亡しました。
性別、年齢、教育水準、喫煙歴、飲酒歴、肥満度の調整後も、仕事中にほとんど座っている人はほとんど座っていない人に比べ、全死因死亡率が16%高く(HR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.11~1.20)、CVD死亡率が34%高かった(HR:1.34、95%CI:1.22~1.46)ことが分かりました。座っている・いないを交互に繰り返す人は、ほとんど座っていない人と比べ、全死因死亡率の増加は認められませんでした。
ほとんど座っている人で、LTPAが少ない(1日15~29分)、またはまったくない(1日15分未満)人は、LTPAを各1日15分、30分増やすことで、ほとんど座っていないLTPAが少ない人と同程度まで死亡率が減少しました。さらに、PAIスコアが100を超える人は、座りっぱなしと関連する死亡リスクが顕著に減少しました。
仕事中に座っていることが多い人が死亡リスクを軽減させるためには、1日当たり15~30分の身体活動を追加する必要があるみたいです。自分も仕事中は殆ど座っていることが多いため、気を付けようと思います。 (小児科 土谷)