院長先生のブログ
子どものインフルワクチンはいつ接種したら良いのか?

2~5歳の小児に対するインフルエンザワクチン接種の最適な時期について調べた論文(BMJ (Clinical research ed.). 2024 Feb 21;384;e077076.)を紹介します。
Optimal timing of influenza vaccination in young children: population based cohort study | The BMJ
2011~18年にインフルエンザワクチンの接種を受けた民間医療保険に加入している8月1日~1月31日に出生した2~5歳の小児を対象に、住民ベースコホート試験を行いました。主要アウトカムは、接種を受けた小児の誕生月別によるインフルエンザ診断率です。
その結果、全体で、2~5歳の小児81万9,223例がインフルエンザワクチンの接種を受けていたことが分かりました。
11月および12月に接種を受けた小児は、インフルエンザと診断される可能性が最も低かったものの、この結果は、ワクチン接種の時期とインフルエンザのリスクに影響を与える交絡因子が存在している可能性が示唆されました。
ワクチン接種は概して、小児が定期健診に受診する際や誕生月に受けており、10月生まれの小児は10月にワクチン接種を受ける割合が高く、平均すると8月生まれの小児より遅く、12月生まれの小児より早くワクチン接種を受けていました。また、10月生まれの小児は、インフルエンザ診断率が最も低かったことが分かりました。たとえば、8月生まれの小児のインフルエンザ診断率3.0%(6,462/21万2,622例)に対して、10月生まれの小児は2.7%(6,016/22万4,540例)でした(補正後オッズ比:0.88、95%信頼区間:0.85~0.92)。
以上から、流行期と免疫確立までの期間も考慮した接種タイミングは10月が最適な可能性があることが分かりました。来年以降、インフルエンザワクチンを接種するタイミングを考慮する際の参考にしたいと思います。 (小児科 土谷)