院長先生のブログ
COVID-19 ワクチン⑦

新型コロナワクチン接種により、SARS-cov-2感染後の心血管疾患発症リスクが大きく減ることを示した論文を紹介します。
英国、スペイン、エストニアの電子カルテを用いて、全国的なワクチン接種キャンペーンに基づく時差コホート研究を行いました。
ワクチン接種は4つの段階に分けられ、あらかじめ登録期間が設定されました。各段階には、開始日にSARS-CoV-2感染またはCOVID-19ワクチンの接種歴のない、ワクチン接種対象者全員が含まれました。転帰には、SARS-CoV-2感染後の4つの期間に記録された心不全(HF)、静脈血栓塞栓症(VTE)、動脈血栓症/血栓塞栓症(ATE)が含まれました。
その結果、1,017万人のワクチン接種者と1,039万人のワクチン未接種者が対象となりました。
ワクチン接種は、感染から30日目まで、および急性後のCOVID-19 VTE、ATE、HFのリスク低下と関連していました(例えば、メタ解析によるsHRは0.22(95%CI 0.17~0.29)、0.53(0.44~0.63)、0.45(0.38~0.53)でした)。
以上から、静脈系の血栓症のリスクは新型コロナワクチン接種をすることで数分の1にまで下がり、心不全、心筋炎、心室性不整脈の発症リスクも半分以下に下がっていたことが分かりました(感染から30日目までの間)。
これまでにも触れてきましたが、新型コロナ感染症はあなどれない病気です。
感染後に重篤な心血管疾患の発症リスクが上がりますが、ワクチン接種によってこのリスクは下げることが出来ます。特に、高齢者や基礎疾患を有する方は新型コロナワクチンの追加接種をしておいた方が良いと思います。 (小児科 土谷)