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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

1日どのくらいの飲酒量で死亡リスクが増えるのか?

そろそろ年度末ということもあり、送別会など飲酒の機会が増える時期でもあります。

そこで、飲酒量と全死亡の関連性について調べた論文を紹介します(JAMA network open. 2023 Mar 01;6(3);e236185.)。

Association Between Daily Alcohol Intake and Risk of All-Cause Mortality – PMC (nih.gov)

 

非飲酒者と飲酒者の分類に影響するバイアスをある程度調整した研究とそうでない研究の比較を容易にするため、系統的レビューを実施しました。

PubMedとWeb of Scienceを用いて、1980年1月~2021年7月に発表された飲酒と全死亡率に関する107件の研究を特定しました。最初にすべての研究をプールし、年齢中央値(56歳)の上下および性別で層別し、混合線形回帰モデルを用いて相対リスクをモデル化しました。主要アウトカムは、1日当たりの平均アルコール摂取量(機会飲酒1.30g未満、少量1.30~24g、中量25~44g、大量45g~64g、最大量65g以上に層別)と全死亡率の関連についての相対リスク推定値としました。

 

その結果、解析対象となったのは計107件(483万8,825人、うち42万5,564人が死亡)のコホート研究で、飲酒による全死亡のリスク推定値は724でした。

サンプリングのばらつき、元飲酒者のバイアス、事前に指定した研究品質基準による潜在的な交絡因子の影響を調整したモデルでのメタ解析を行った結果、機会飲酒者(相対リスク[RR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.86~1.06、p=0.41)および少量飲酒者(RR:0.93、p=0.07)では、生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクの有意な低下はみられませんでした。


完全調整モデルでは、中量飲酒者(RR:1.05、p=0.28)で全死亡リスクの増加がみられましたが有意ではなく、大量飲酒者(RR:1.19、p=0.001)および最大量飲酒者(RR:1.35、p=0.0001)では有意に増加していました。

女性では、飲酒者が生涯非飲酒者と比べ全死亡リスクが有意に高く(RR:1.22、p=0.03)、どの摂取量においても男性より全死亡率が高かったことが分かりました。

 

以上から、毎日のアルコール摂取量が少量~中量の場合は全死亡リスクと有意な関連はなかったものの、摂取量が増えると明らかな死亡リスク増加が認められることが分かりました。また、女性の方がより少ない摂取量からその関連性が認められたことも分かりました。

 

自分の場合は機会飲酒者ですが、調子に乗ると、ついつい多量飲酒してしまうので、これからは気を付けたいと思いますw (小児科 土谷)

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