院長先生のブログ
目にした情報を鵜呑みにしないことは大事です
情報化社会の現代で、日々我々が目にする「情報」の信頼性について、機能性表示食品を用いて検証した論文(J Clin Epidemiol. 2024 Feb 28:169:111302. )を紹介します。
本邦上位5社の研究開発受託機関が大学病院医療情報ネットワーク臨床試験レジストリまたは国際臨床試験レジストリ・プラットフォームに登録した機能性表示食品の試験を対象としました。試験結果のプレスリリースまたは試験結果に基づく食品の広告はGoogle検索で特定しました。RCTの論文におけるバイアスのリスクは、2名の査読者が独立して評価し、査読者は抄録および全文における「スピン(偏った解釈)」の有無も評価し、プレスリリース/広告における「スピン」の評価も実施しました。
その結果、日本の機能性表示食品の治験論文において、抄録の結果の72%、結論の81%に主要評価項目を意図的に無視したり、有意な副次評価項目だけを報告するなどのスピンがみられたことが分かりました。プレスリリース/広告においても73%にスピンがあり、82%に景品表示法に抵触する表現がみられたことが分かりました。
以上から、日本の機能性表示食品の治験論文やプレスリリース/広告には多くのスピン(偏った解釈)が含まれていることが分かりました。
我々消費者ももっと賢くなる必要があると思いますが、行政側も食品メーカーが意図して選択的な結果を広告・表示していないか、これまで以上に厳しくチェックしても良いのではないかと思います。 (小児科 土谷)