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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

BMIとがんによる死亡リスクの関連は?

一般的に、肥満は2型糖尿病、循環器疾患、いくつかのがんに関係しており、健康に重大な悪影響を及ぼすことが知られています。

日本において、BMIの水準が死亡リスクに与える影響について検討した論文(J Epidemiol. 2011;21(6):417-30. )を紹介します。

Body Mass Index and Mortality From All Causes and Major Causes in Japanese: Results of a Pooled Analysis of 7 Large-Scale Cohort Studies – PMC (nih.gov)

肥満指数(BMI)と死亡リスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん対策研究所 (ncc.go.jp)

 

日本の7つのコホート、35万人以上のデータを併せたプール解析による定量評価を行い、BMIの水準が死亡リスクに与える影響を死因別・男女別に推定しました。

 

今回得られたBMIによる全死因および死因別の死亡のリスク(ハザード比)を男女別にグラフにしたものを下に示します。BMI23-25を基準(ハザード比=1)として、各BMIグループと比較した相対リスクで示しました。死亡率に影響を与えうるBMI以外の要因(年齢、地域、喫煙、飲酒、高血圧の診断歴、糖尿病の診断歴、余暇のスポーツ・運動)について、それらの偏りが結果に影響を与えないように、ハザード比には統計的補正を行いました。

その結果、BMIと死亡リスクの間には逆J型の関係が見られることが分かりました。

 

男性の全死因では、23未満のBMIに対応する3つのカテゴリーにおいて死亡リスクが有意に上昇していました。死亡リスクはBMI25-27のカテゴリーで最低であり、それよりBMI高値カテゴリーでは上昇に転じていますが、統計学的に有意に高くなるのはBMI30-40のカテゴリー(肥満)だけでした。

死亡リスクの上昇は、BMI低値(やせ)の方がより顕著で、グラフは「逆J型」の曲線を描きました。

死因別に見ると、「がん」と「その他」の死因による死亡リスクは「全死因」同様「逆J型」の曲線を描きますが、「心臓病」と「脳血管疾患」による死亡リスクは、BMIの高低による上昇が拮抗しているか、またはBMI高値の場合により顕著な上昇が見られ、そのグラフは「U型」または「J型」の曲線を描くことが分かりました。

女性の全死因による死亡リスクのグラフも、男性同様、「逆J型」の曲線を描きますが、「がん」による死亡リスクについては男性と異なり「逆J型」が見られず、統計的に有意なリスク上昇がみられるのはBMI30-40カテゴリー(肥満)においてのみでした。「心臓病」と「脳血管疾患」の死亡リスクについては男性の場合と同様「U型」または「J型」の曲線が見られました。

 

以上から、男女ともに「痩せすぎも太りすぎも良くない」ことが分かります。

BMIが標準より少し多め人(=少し太めの人)が、どのような原因であれ、亡くなりにくく、がんになりにくいことがわかります。

その一方、過度の痩せや肥満の人は、亡くなりやすく、がんになりやすい傾向がはっきりと見られます。

 

体重を一定に保つためには、過度の栄養分摂取や過度の飲酒を避け、規則正しい食事をすること、そして、定期的に運動をすることが大切です。

一度、自分のBMIを計算してみては如何でしょうかw (小児科 土谷)

 

*BMIとは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値です

 

 

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