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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

加糖飲料による慢性腎臓病のリスクは?

砂糖や人工甘味料の摂取が腎臓に及ぼす影響について調べた論文(JAMA network open. 2024 Feb 05;7(2);e2356885.)を紹介します。

Sweetened Beverage Intake and Incident Chronic Kidney Disease in the UK Biobank Study – PMC (nih.gov)

 

英国バイオバンクのデータを用いて、3種類の飲料(砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料、天然果汁ジュース)の摂取量と慢性腎臓病(CKD)の発症リスクとの関連、およびこれらの飲料を別の飲料に置き換えた場合の影響を調査するために前向きコホート研究を実施しました。

 

対象は、2006~10年に英国バイオバンクに登録し、食事に関するアンケートに回答したCKDの既往歴のない参加者で、最長で2022年10月31日まで追跡調査されました。主要アウトカムはCKDの発症で、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて3種類の飲料とCKD発症との関連を推定しました。飲料を別の飲料に置き換えた場合の影響の評価には代替分析法を用いました。

 

その結果、合計12万7,830人(平均年齢[SD]:55.2[8.0]歳、女性:51.8%)が解析に組み込まれました。追跡期間中央値10.5年(IQR:10.4~11.2)時点で、4,459例(3.5%)がCKDを発症していました。

 

加糖飲料を1日1杯以上摂取している群では、加糖飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高かった(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.05~1.34、p=0.01)ことが分かりました。

人工甘味料入り飲料を1日1杯以上摂取している群でも、人工甘味料入り飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高かった(aHR:1.26、95%CI:1.12~1.43、p<0.001)ことが分かりました。

一方、天然果汁100%ジュースの摂取とCKD発症との間に有意な関連は認められませんでした(aHR:0.99、95%CI:0.87~1.11、p=0.90)。

 

1日1杯分の加糖飲料および人工甘味料入り飲料を、天然果汁ジュースまたは水に置き換えると、CKDの発症リスクは低下しました。

  • 加糖飲料→天然果汁ジュース HR:0.93、95%CI:0.87~0.97、p=0.04
  • 加糖飲料→水 HR:0.93、95%CI:0.88~0.99、p=0.03
  • 人工甘味料入り飲料→天然果汁ジュース HR:0.90、95%CI:0.84~0.96、p=0.03
  • 人工甘味料入り飲料→水 HR:0.91、95%CI:0.86~0.96、p=0.001

加糖飲料を人工甘味料入り飲料に置き換えても、CKD発症との有意な関連は認められませんでした(逆も同様)。

 

以上から加糖飲料または人工甘味料入り飲料を1日1杯(250mL)以上摂取することで、慢性腎臓病(CKD)の発症リスクが上昇し、それらの飲料を天然果汁ジュースまたは水に置き換えるでCKD発症リスクは低下するみたいです。

果汁100%ジュースに含まれるビタミンCやカリウムなどが血圧低下や抗炎症作用を発揮することで、発症リスクを低減させる方向に働くのでしょうか。

「何故そうなるのか?」、その病態にも興味がわくところですねw (小児科 土谷)

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