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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

オンライン診療も使いよう

今日はコロナ禍で注目をあびたオンライン診療についてです。

 

文部科学省の調査で、ADHD、ASDを含む神経発達症の可能性がある小中学生は8.8%、高校生で2.2%に上ると報告されています(アメリカの疫学研究でも、3-17歳における有病率はADHDが9.5%、ASDが2.5%と推計されています)。

日本では、皆様もご存じの通り、小児精神科医の不足が深刻で初診まで平均2.6ヶ月を要しています。

そのため、早期診断、支援や治療を含む対策は非常に大きな社会課題になっています。

 

その解決策として、遠隔ビデオツールを用いたオンライン診療は役立つのではないか?というのが今回の話題(J Med Internet Res. 2024 Feb 19:26:e51749.)です。

Reliability of Telepsychiatry Assessments Using the Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Rating Scale-IV for Children With Neurodevelopmental Disorders and Their Caregivers: Randomized Feasibility Study – PMC (nih.gov)

児童の注意欠如多動症(ADHD)評価はオンライン診療で実施可能-ADHDの遠隔評価の高い信頼性を検証-:[慶應義塾] (keio.ac.jp)

注意欠如多動症(ADHD)および自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた6~17 歳の 74 人の日本人の児童、思春期患児とその養育者を対象に、ADHD-RS-IV による対面評価と遠隔評価の一致度を検討しました。

ADHDとASDの診断は「精神疾患の分類と診断の手引き 第5版」(DSM-Ⅴ)に基づき、オンライン診療ツールの利用が困難、幼児期の情報が無い、併存疾患がある、追跡中に新たな治療開始を予定している例は除外しました。

主要評価項目はADHD評価尺度(ADHD-RS-Ⅳ)およびASD評価尺度(CARS 2)スコアに基づく対面評価と遠隔評価の一致度としました。診療録から年齢、性、診断内容、薬物治療歴、罹患期間の情報を収集し、子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)、自閉症スペクトラム指数(AQ)、DSM-Ⅴ対応問診紙検査(Conners 3)、感覚プロファイル短縮版(SSP)を実施しました。

 

その結果、患者背景はADHDが43例、ASDが31例で、女児が17例、平均年齢は10.4±2.5歳でした。

対面評価による各種尺度の平均スコアは、SDQが21.94、AQが24.68、CARS 2が35.97、ADHD-RS-Ⅳの合計が27.25点、不注意項目が19.17、多動性・衝動項目が8.08点でした。

 

対面評価と遠隔評価の一致度を確認したところ、級内相関係数(ICC)は全体で0.769(95%CI 0.654~0.849)、ADHD児で0.816(95%CI 0.683~0.897)、ASD児で0.674(95%CI 0.420~0.831)といずれも高かった(p<0.001)が分かりました。ICCを年齢別に見ると、10歳以下の群(37例)の0.675(95%CI 0.464~0.814)に比べ、11歳以上群(37例)では0.757(95%CI 0.558~0.873)と年長の子どもで精度が高かった(p<0.001)ことが分かりました。

 

初診までの待機期間は平均79.0±57.1日(範囲1~200日)、外来通院に要する時間は平均36.8±20.7分(範囲5-100分)、施設での待ち時間は平均24.0±14.6分(範囲5-60分)でした。

オンライン診療の利用による削減時間は(往復の通院時間+待ち時間)は平均97.7±42.5分(範囲40-260分)と推計されました。

 

以上から、オンライン診療を活用した遠隔評価は対面評価による結果と高い精度で一致することが分かりました。

 

地域によっては、分野によっては、専門医がいないところもあります。

利用者の視点からもオンライン診療のメリットは大きいため、もっと有効に活用されていって欲しいなっと思いました。 (小児科 土谷)

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