院長先生のブログ
よくある質問(Q&A) *随時更新
同時接種について、どう考えたら良いでしょうか?
複数のワクチンを一度に何本も接種する同時接種は一見すると可哀想に見えますが、痛い思いをするのはその日だけで、逆に免疫を獲得する前にVPDに罹患してしまった結果、何日も辛い思いをしたり、後遺症を残したり、命を落としたりしてしまっては元も子もありません。
同時接種を勧める小児科医の多くは、同時接種が「予防」という本来の目的を果たす意味において重要であること、接種スケジュールが簡略になり「接種忘れ」を防ぐことが出来るというメリットを重視しています。心配な点・疑問な点がある場合は、事前にかかりつけの医療機関と相談しておくと良いでしょう。
自然に罹患して免疫をつけた方が良いのですか?
ワクチンで防ぐことができる感染症にワザワザ罹患して免疫をつけるという考え方はお勧め出来ません。
子どもが罹患する感染症の中には、後遺症を残したり、命を落としたりする危険性が高いものがあります。「自然に罹患して免疫をつけた方が良い」説は、後遺症もなく無事に治癒して初めて言えることで、有効なワクチンが開発されていなかった時代は、実際に多くの子どもたちが合併症に苦しんだり、後遺症を残したり、命を落としたりしていました。
例えば、おたふくかぜに罹患した場合、100人に1~2人の割合で無菌性髄膜炎を発症する場合があります。おたふく難聴や思春期以降では精巣炎や卵巣炎を合併することもあるでしょう。おたふくかぜワクチン接種でも、副反応として無菌性髄膜炎等を発症する場合がありますが、その頻度は数千人に1人と稀であり、自然感染した場合の方がよりリスクが高いことがお分かりになると思います。
ワクチン接種は、自然に罹患したときのような合併症・後遺症や死亡という危険に晒されるリスクを低く抑え、感染症の発症を予防できるメリットがあります。
なぜ、同じワクチンを何度も接種しないといけないのですか?
一般的に使用されているワクチンの中には、ウイルスや細菌の毒性を完全になくして、免疫をつけるのに必要な部分だけを残しているものがあります。その場合、自然感染例と比べて、獲得出来る免疫力が弱いため、(免疫を長期間維持するために)1回のワクチン接種では充分でなく、何回かの接種が必要になります。
小児肺炎球菌ワクチン(不活化ワクチン)の場合、乳児期に3回、1歳過ぎてから1回追加接種を受けることで、獲得出来る免疫力が大きく向上します。不活化ワクチンだけでなく、生ワクチンである水痘ワクチンでさえも、1回の接種だけでは約2割が軽く罹患してしまうため、2歳までに2回目の接種が勧められています。これをブースター効果と呼びます。
長く続く免疫をつけるために、数回にわたって接種が必要なワクチンがあります。決められたスケジュールを守って、必要回数をきちんと接種するように心がけましょう。
ワクチン接種後に発熱したり、腫れたりすることはよくありますか?
ワクチン接種後に、発熱したり、接種部位が腫れたりすることはよくありますが、一般的にその程度は軽く、ワクチン接種によって免疫を獲得する過程で起きる体の正常な反応とされています。多くは心配の無いもので自然に軽快するものが殆どですが、お子さんがグッタリしている、機嫌が悪く辛そう、発熱の原因が予防接種によるものか、他の感染症によるものか判断に迷う場合はかかりつけの医療機関に相談しましょう。
また、ワクチンも薬剤の一種であるため、被接種者の体質に合わないと稀にアナフィラキシーというアレルギー反応が起こることがあります。ワクチン接種後に医師・スタッフから「30分程度は医療機関で待機するように」または「すぐ連絡が取れるようにしておくように」と指示が出される場合があります。それは万一のアナフィラキシー反応が出た場合にすぐに対応出来るよう備えるための指示です。接種後のことで心配な点・不安な点などある場合は、予防接種前に医師・スタッフにご相談ください。