アトピー性皮膚炎の患者さんのQOLを低下させるものの一つに「かゆみ」があります。

 

今日はその「かゆみ」についてのお話です。

痒みに対して掻くという行動は、皮膚から虫などの刺激物質を排除するための一種の防御行動と考えられています。

通常は、痒みは一過性ですが、慢性的な炎症の場合は痒みが消えずに搔き続けることになり、そのために皮膚のバリアが壊れたり、二次的感染が起きたり、炎症がひどくなったりします。こうなると悪循環となり痒みが止まらず、やがて睡眠障害や精神的苦痛までが起きて、QOLが低下していきます。

顕微鏡レベルでは神経の過形成が起きており、そのために痒みを強く感じるようになっている訳ですが、どのような機序で神経の過形成が起こるのか?これまでよくわかっていませんでした。そこで、今日の論文ですw

Maladaptive immunity to the microbiota promotes neuronal hyperinnervation and itch via IL-17A | PNAS

 

マウスの実験的乾癬モデルにおいて、掻き過ぎて傷ついた組織では皮膚に住み込んでいる常在細菌が組織内に入り込んでT細胞にIL-17Aを作らせ、これが組織内の神経線維に発現しているIL-17受容体に働いて感覚神経の過形成を促し、そのために皮膚が痒くなることを報告されています。

 

要するに、掻くという防御的行動が過ぎると、組織が傷つき、普段から皮膚に住み込んでいる常在細菌が組織内に入ってT細胞に特定のサイトカインを作らせ、神経がその刺激を受けて過形成を起こし、さらに痒みが増す、そしてこのサイトカインが免疫細胞を活性化させて炎症を悪化させる、というメカニズムが動いていることが明らかになりました。そして(マウス実験では)IL-17Aの機能を阻害すると痒みが止まることから、このサイトカインが皮膚での強い痒みにおいて大事な役割をすることが確認されました。

 

ちなみに、今回の実験系で過形成していた感覚ニューロンはCGRPを豊富に含むニューロンで、これまでは組織の再生や修復に関わることが示されてきたものです。

このニューロンが適度に増えることは組織の維持に大切ですが、増えすぎると組織損傷につながるみたい。。

何事も、過ぎたるは猶及ばざるが如しですねw (小児科 土谷)