すき間時間を使って読了しました。

歴史ものは好きなので、あっという間に終わってしまった・・。

 

『天平の甍』(新潮文庫) 井上靖 

日本が黎明期からようやく脱し、国の形・国の決り・国の強さを創り出そうと精力的に大陸から学び吸収しようとした時代の物語です。


藤原一族の隆盛に伴う『遣唐使』も第9次を迎えていました。
既に阿倍仲麻呂も唐に渡り彼の地の宮廷で大臣として活躍しており、吉備真備は帰朝して階位を上げていました。遣唐使には医師や陰陽師・画師・訳語など総勢580名の乗組に最も大事な留学生、留学僧も乗船しており・・・。


この物語は、留学僧の普照を通して、渡航の困難さ、中国大陸での出会いと仲間の僧との体験、そして「鑑真」との出逢いと鑑真と共に生死をかけて帰朝するまでの全貌が記されています。


歴史の教科書で誰もが一度は目にする『鑑真和上』。

教科書ではサラッと記されている遣唐使と鑑真。

その背景を知る物語は実に面白かったです。 (小児科 土谷)