小児ではCOVID-19が重症化しにくい理由について調べた論文を紹介します(Nature microbiology. 2024 May;9(5);1293-1311.)。

Age-specific nasal epithelial responses to SARS-CoV-2 infection | Nature Microbiology

 

健康な12歳未満の小児、30~50歳の成人、70歳超の高齢者の鼻腔から採取した鼻粘膜上皮細胞を培養し、それを新型コロナウイルスに曝露させて反応を調べました。

曝露3日後、小児の鼻粘膜上皮細胞では、侵入したウイルスに対する初期防御反応としてインターフェロンが産生され、速やかに新型コロナウイルスに反応することが確認されました。

その一方、このような速やかな抗ウイルス反応は、加齢に伴い減弱していくことも示されました。高齢者の鼻粘膜上皮細胞では、感染性のあるウイルス粒子がより多く作られる傾向が認められ、それによってウイルスの全身への拡散が促されていることが示唆されました。

小児の鼻粘膜上皮細胞における抗ウイルス反応の強さが小児がCOVID-19に罹患しても症状が軽くて済むことの理由になると考えられる一方、高齢者の鼻粘膜上皮細胞は感染すると受けるダメージが大きく、ウイルスの複製も促されていることが高齢者のCOVID-19重症化リスクが高い理由の一つである可能性があると考えられました。

 

他のウイルス感染症でも、同様の加齢による防御反応の差が重症化リスクに関与するのでしょうか?

興味深いところですねw (小児科 土谷)