6月ということもあり、梅雨ももうすぐです。
この時期になると、流石にスギやヒノキの花粉症は影を潜めますが、また違ったアレルギーに悩まされる方も外来では多いようです。
アレルギー性鼻炎の原因植物としてはイネ科植物が有名ですが、稲(米)、小麦・大麦、トウモロコシなど食用として親しまれているものとは異なり、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどといった野草が大半を占めます。
特に多いのはカモガヤで、河川敷や公園、空き地などによく生えています。
スギやヒノキのように遠くまで花粉が飛ぶことはありませんが、半径数十メートルほどは花粉が飛散するので、これらの植物が生えやすい場所に近づかないように注意することが大切です(鼻アレルギー診療ガイドライン2016.)。
そのほか、この時期の喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの原因として多いのは、ダニやハウスダストですが、夏場は特にエアコンを使う機会が多くなるために、エアコンから吐き出されるカビにも注意が必要です。
Trichosporon asahi(エアコン・キッチンなど水回りで繁殖)やAspergillus fumigatus(アスペルギルス属でメジャーな原因菌)、Cladosporium(風呂場でよく見かけるカビ)が具体的なカビの菌種になりますが、中でもTrichosporon asahiによる『夏型過敏性肺炎』は要注意で、この肺炎は一旦発症してしまうとカビを吸い込むたびに症状が起きやすくなります(Am Rev Respir Dis. 1991 Oct;144(4):765-9.)。特に、エアコン運転開始の10分間はエアコン内部にたまっていたカビが一気に吐き出されるので、最初だけは換気を心掛け、快適な夏が過ごせるよう室内環境を整えるようにしましょう。
ジメジメした、すっきりしない日が多く、体調を崩される患者さんが多いように感じます。
体調管理に気を付け、梅雨を乗り切りましょう! (小児科 土谷)