コロナ禍をへて、遠隔診療も普及しつつあります。
(上手く使えば便利なので、個人的には是非社会に定着して欲しいもののひとつが遠隔診療です)
今日はその「遠隔診療」にまつわる話題( JAMA network open. 2024 May 01;7(5);e2411512. pii: e2411512.)です。
Patient Preferences for Telemedicine Video Backgrounds – PMC (nih.gov)
ミシガン・メディスンまたは米国退役軍人(VA)アナーバーヘルスケアシステムのいずれかで1年以内に遠隔診療を受けた18歳以上の患者1,213人(626人が女性を自認)を対象に、2022年2月22日から10月21日の間に実施された調査を分析しました。
この調査では、7種類の異なる環境(医師のオフィス、診察室、壁に卒業証書や資格証明書などが飾られたオフィス、書棚のある自宅オフィス、寝室、キッチン、無地の背景)にいる医師の写真が提示されていました。調査参加者は、自分の好みの環境を選び、また6つのドメイン(知識の豊富さ、信頼性、思いやり、親しみやすさ、専門性、患者が感じる居心地の良さ)について1〜10点で評価し、複合スコアが算出されました。
その結果、複合スコアが最も高かった背景は、卒業証書などを掲示してある医師のオフィスでした(スコアは平均7.8点)。また、医師のオフィス、診察室、書棚を背景にした自宅のオフィス、無地の背景も高評価でした。
一方、背景に寝室(平均7.2点)やキッチン(平均7.0点)が映り込んでいるケースの評価は低かったことが分かりました。卒業証書などで飾られたオフィスを好む人の割合は34.7%、医師のオフィスを好む人の割合は18.4%、無地の背景を好む人の割合は14.4%であったのに対し、寝室やキッチンを好む人の割合はそれぞれわずか3.5%と2.0%に過ぎませんでした。
以上から、遠隔医療でビデオ通話を行う際の背景を伝統的あるいは専門的と見なされている服装や環境にすることで(要するに医師・病院らしくする)、診療内容やアドバイスへの患者の信頼度が強まることが分かりました。
我々の「背景」も非言語的コミュニケーションのひとつみたいなものというわけで、これからは色々と気を使わなければなりませんw
きっと、バーチャル背景を使うのも「アリ」なんでしょうね。 (小児科 土谷)