新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、オンラインで特定保健指導を行う機会が増えました。
特定保健指導後の体重減量効果について、オンライン面接と対面面接で差があるのかどうか調べた論文(Journal of occupational health. 2024 Jan 04;66(1); pii: uiae026.)です。
デパート健康保険組合に加入する被保険者の特定健診・特定保健指導データを用いた縦断研究を行いました。対象者は、2020年度(2020年4月~2021年3月)にオンライン面接または対面面接による特定保健指導を受け、次年度に特定健診を受けた人1,431人(前年度の初回面接から90日以内の人は除外)です。特定保健指導は保健師または管理栄養士が行い、動機付け支援の対象者には30分の初回面接、積極的支援の対象者には30分の初回面接後、継続して1、2、3カ月後に20分間の電話面接を行いました。
その結果、オンライン面接を受けた人は455人(平均年齢49.9歳、男性47.0%)、対面面接を受けた人は976人(同51.1歳、同50.3%)でした。BMIは、オンライン面接群ではベースライン時の27.68から次年度の特定健診時は27.48に低下し、対面面接群では27.61から27.42に低下していました。
BMIの変化を目的変数、面接方法を説明変数とし、傾向スコアを用いた逆確率重み付け推定法で統計学的に解析した結果、オンライン面接は対面面接と比較して劣っていないことが明らかとなりました。具体的には、BMIの変化量の差は-0.014(95%信頼区間:-0.136~0.129)で有意差はなく(P=0.847)、この信頼区間の上限は、事前に検討した非劣性マージン(対面面接と比べてBMIの低下量が劣っていないと許容できる上限)の0.175を下回っていました。
以上から、特定保健指導において、「オンライン面接でも減量効果は変わらない」ようです。
オンライン面接は便利なので、こういう指導の場面でも、今後活用出来る場面が増えると良いと思います。(小児科 土谷)