5歳児の睡眠障害の有病率と関連因子を検討した日本からの論文(Front Pediatr. 2024 Apr 4:12:1332723.)を紹介します。
弘前市で毎年実施している弘前5歳児発達健診(HFC調査)から、2018-2019年に日本版幼児睡眠質問票(JSQ-P)に回答した2055例(男児1068例)のデータを抽出し、JSQ-P合計スコア86点以上を睡眠障害ありとして評価した結果、369例(18%)が該当したことが分かりました。
次に、2014-15年にHFC調査で神経発達症(NSD)の疑い有りとされ、その後に確定診断を受けた281例(男児162例)を組み入れ、計2336例(非NSD児:1890例、ASD児:115例、ADHD児:93例、その他:103例、不明:135例)を対象に、睡眠障害に関連する因子(①NSD診断の有無、②誕生月、③日中の保育場所、④世帯収入、⑤同胞の数、⑥就寝時刻、⑦起床時刻、⑧睡眠時間、⑨入眠までの時間、スクリーンタイムの10項目)について検討しました。
解析の結果、上記②③以外の8つの因子に睡眠障害との関連性が認められました。
睡眠障害の有病率が高かったのは、
ASD の診断(50.4%)、ADHDの診断 (39.8%)、世帯収入<200万円未満 (30.5%)、同胞がいない(24.2%)、就寝時刻が22時以降(30.7%)、起床時刻が7:30以降(30.7%)、睡眠時間が9時間未満 (25.3%)、入眠までの時間が30分~1時間未満 (31.8%)、1時間以上(48.5%)、スクリーンタイムが2時間以上 (21.1%)でした。
どうやら未就学児の良好な睡眠(健康)のためには、22時までには就寝し、朝6時30分までに起床するなど、規則正しい生活が必要なようです。
思い当たりそうなお子さんは、明日からでも良いので、出来ることから1つずつ試してみては如何でしょうか。 (小児科 土谷)