long COVID(PASC)の感染後2年を超える追跡データに関する報告(Nat Med. 2024 Jun;30(6):1564-1573.)です。
Three-year outcomes of post-acute sequelae of COVID-19 | Nature Medicine
米国の退役軍人省の健康記録を用いて、感染者13万5161人と対照520万6835人を3年間追跡したコホート研究です(オリジナルの武漢株が優位で、抗ウイルス薬やワクチンが開発されていなかった期間の感染者が登録された)。
非入院感染者では、死亡リスクの増加は感染1年後以降認めなくなりました。PASC発症リスクも3年間で減少したものの、3年目には1,000人あたり9.6障害調整生存年(DALY*)に寄与していました(*DALYは特定の疾病によって失われた健康な人生の年数を表す)。DALYのうち、神経学的後遺症が非常に高い割合を占めていました。

そして、入院患者で死亡リスクは低下したものの、3年目でも死亡率は有意に高いままでした(罹患率比:1.29)。PASC発症リスクは3年間で低下したものの依然高く、1,000人当たり90.0 DALYでした。
以上から、感染後3年間の追跡調査より、死亡率およびPASC発症リスクは低下したものの、入院を要した重症患者では依然高いままであったことが分かりました。 (小児科 土谷)

