最近、社会にも浸透してきた人工知能(AI)にまつわる話題です。

AIを用いることで、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症する可能性が高い小児を見つけ出すことは出来るのでしょうか?( JAMA network open. 2024 Aug 01;7(8);e2429229. )

Machine Learning Prediction of Autism Spectrum Disorder From a Minimal Set of Medical and Background Information – PMC (nih.gov)

 

Simons Foundation Powering Autism Research for Knowledge(SPARK)データベースの、ASDのある児とASDがない児1万5,330人ずつ(計3万660人、平均月齢106カ月、男児63.5%)のデータセットを用いて、ASDを予測するためのAIモデルを構築しました。このモデルは、対象者が24カ月未満時に親が報告した、簡単に得られる情報の中から28個の指標を選び出し、これをもとに4つの機械学習アルゴリズム(ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、XGBoost)を用いて構築されました。

 

テストデータを用いてそれぞれのモデルの予測能を検証したところ、最も優れているのはXGBoostモデルであったことが分かり(ROC曲線下面積0.895、感度0.805、特異度0.829、陽性的中率0.897)、このモデルはAutMedAIと名付けられました。

また、ASDの予測に、児が初めて笑った月齢、初めて短文を話した月齢、偏食の問題の存在の3つの因子が強い影響を及ぼすことが分かりました。別の検証コホート1万1,936人を用いて検証したところ、モデルはASD児の78.9%(8,262人)が正確にASDであると判定されました。

 

ASDに対する効果的な治療や介入を早く受ければ受けるほど、良好な転帰が望めるため、ASDの早期診断は重要です。

(日本の子ども達にそっくり当てはまらないかもしれませんが)これから人手不足が「より深刻に」なっていく時代、AIに代表される便利なツールを積極的に活用していかなければなりませんねw (小児科 土谷)