10月ということもあり、インフルエンザの予防接種が始まっていますが、日本人高齢者で死亡率が高い感染症はどれなんでしょう?(Clinical microbiology and infection : the official publication of the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases. 2026 Jan 10; pii: S1198-743X(26)00002-9.)
日本の3施設(島根県立中央病院、洛和会音羽病院、奈良市立病院)において、急性呼吸器症状または徴候を呈して緊急入院した50歳以上の成人を対象に、前向きコホート研究「EVERY study」を実施しました。登録期間は2023年7月1日~2024年12月31日とし、入院後24時間以内に採取された鼻咽頭ぬぐい液を用いて、FilmArray呼吸器パネル2.1による多項目遺伝子検査を行い、RSV、SARS-CoV-2、インフルエンザA/Bの陽性割合と臨床転帰(30日全死亡、下気道疾患[LRTI]、modified LRTI[画像所見を組み込んだ定義])を検討しました。また、ワクチン接種歴(COVID-19[新型コロナウイルス感染症]ワクチンとRSVワクチンは過去に1回以上接種で接種あり、インフルエンザワクチンは当該シーズンに1回以上接種で接種ありとした)も調べました。
その結果、解析対象となった3,067例(平均年齢81.4歳、男性55.3%)において、各ウイルスの陽性割合は、インフルエンザA/Bが2.3%、SARS-CoV-2が18.0%、RSVが1.6%でした。解析対象(3,067例)のワクチン接種割合は、インフルエンザワクチン37.9%、COVID-19ワクチン62.3%、RSVワクチン0%で、抗ウイルス薬の投与割合は、インフルエンザA/B群62.3%、SARS-CoV-2群71.8%、RSV群0%でした。
30日全死亡率は、インフルエンザA/B群が2.9%であったのに対し、SARS-CoV-2群8.4%、RSV群14.3%でした。インフルエンザA/B群を対照とした場合の30日全死亡の調整オッズ比は、SARS-CoV-2群が2.9(95%信頼区間[CI]:0.83~17.9)、RSV群が5.2(95%CI:1.2~36.7)であり、RSV群が高かったことが分かりました。入院時のLRTIの割合は、インフルエンザA/B群88.4%、SARS-CoV-2群82.8%、RSV群87.8%でした。modified LRTIは、それぞれ95.7%、93.1%、93.9%といずれも高率でした。
以上から、高齢者の急性呼吸器症状による緊急入院では、RSウイルス(RSV)陽性者がSARS-CoV-2やインフルエンザA/B陽性者と比較して、30日全死亡率が高く、RSV感染症は、高齢者の看過できない死亡リスク因子であることが示唆されました。
インフルエンザやCOVID-19ばかりに目が向けがちですが、高齢者にとってはRSVも見過ごせない感染症です。
当院でも高齢者向けRSVワクチン接種を行っています。接種を希望される方は、電話でご予約ください。 (小児科 土谷)

