麻しんは「はしか」とも呼ばれ、昔からお子さんの命にかかわるとても怖い病気として知られています。
麻しんウイルスは感染力が非常に強く、免疫のない場合にはほぼ100%感染して発症してしまいます。
近年、国内でも麻疹の患者さんが増えているので、簡単に説明します。
麻疹の原因ウイルス
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスによって起きる感染症です。空気感染をする、極めて感染力の高いウイルスです。
潜伏期間は?
体内にウイルスが入ってきてから、約10〜12日経った頃に症状が出てきます。
95%以上が顕性感染とされ、不顕性感染はほとんどありません。
感染経路は?
空気感染(同室~同一フロア)が主で、ときに飛沫感染、接触感染します。感染力が非常に強いことで知られています。
ウイルスの排出期間は、発疹出現4日前~発疹出現後4日とされています(感染力が最も強いのは発疹が出る前)。
どんな症状?
感染後、10~12日の潜伏期を経て、咳、鼻水、発熱などのかぜと似た症状が出てきます。次第に咳、鼻水はひどくなり、目やに、目の充血(結膜炎)も出てきます。
(残念ながら、この時点ではただの風邪か、麻疹なのか診断するのは難しいです)
発熱後3~4日目に一時少し体温が下がりますが、鼻水や目やにが酷くなり、乾いた咳込みをするようになります。この時期に口の中のほほの内側に白い斑点が出現します(コプリック斑)。この斑点を確認できれば、麻疹が強く疑われます。
それに続いて、40℃くらいの高熱になっていきます。咳、鼻水はさらに増悪し、発疹が出現して来ます。発疹は紅色のブツブツで、耳の後ろ、首から出始めて、顔、体、手足と拡がっていきます。やがて、ブツブツがだんだんと融合していきます。発疹が全身に広がるこの数日間は高熱が続くため、この時期のお子さんはかなりぐったりしてきます。4~5日すると解熱し始め、発疹は褐色に変化してきます。その後、発疹は色素沈着を残して回復していき、1~2週間後には色素沈着も消えていきます。

合併症は?
合併症としては、肺炎や中耳炎をよく起こします。まれに重症肺炎や脳炎・脳症になり、後遺症を残したり、死亡することもあります。
致死率は1000人あたり1~3例で、5歳未満と免疫不全者に多いとされています。
また、麻疹感染から回復しても、数年から数十年後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがある点が要注意です。
治療法は? 予防法は?
麻疹ウイルスに効果のある治療はないため、対症療法を行います。
麻疹の予防には、MR(麻疹・風疹)ワクチン接種が極めて有効です。1回接種で95%の方が、2回接種で99%以上の方が免疫を獲得できるとされています。
日本では、1歳と年長さんで定期接種となっています。公費の時期を逃してしまった方でも、自費で接種をすることが出来ます。
麻疹が疑われた場合、どうしたら良いですか?
周囲に麻疹の発症者がいて、すでに健康観察を保健所で受けている方は、その指示に従いましょう。
そうではなく、麻疹が疑われる場合、電話で現在の症状をお伝えください。
その後、受診の時間帯・受診方法などをご相談させて頂きます。(絶対に、連絡なしでの受診はしないでください)
麻疹が疑われる場合、保健所と協力して精密検査を行います。
咽頭ぬぐい、血液検査、尿検査を行います。
また、感染拡大を防ぐため、接触者調査(いつ、どこに行ったか、同時刻に同じ場所にいた人を探すなど)にご協力ください。

