コロナ禍を経て、様々な施設でみかけるようになった空気清浄機。本当に急性呼吸器感染症の予防効果があるのか調べた論文( JAMA network open. 2024 Nov 04;7(11);e2443769.)を紹介します。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州にある高齢者居住施設3ヵ所において、2023年4月7日~10月26日の6ヵ月間、135人の個室居住者を対象に、多施設共同二重盲検クロスオーバーランダム化臨床試験が行われました。
第1フェーズでは、対象者を介入群と対照群に割り付け、介入群の部屋にはHEPA-14フィルター付きの空気清浄機が設置され、対照群の部屋にはHEPA-14フィルターのない空気清浄機が設置されました。試験開始から3ヵ月後に、1週間のウォッシュアウト期間を設け、両群を入れ替えて第2フェーズの試験が行われました。
ロジスティック混合モデル回帰分析によりARI発生率が評価されました。主要評価項目は感染または感染なしの2値で評価したARI発生率で、咳嗽、咽頭痛、息切れ、鼻炎の少なくとも1つが突然発症し、臨床医が感染症によるものであると判断したものと定義されました。
その結果、第1フェーズの参加者135人の年齢中央値は86.0歳(範囲 59.0~103.0)、平均年齢は85.2歳(SD 8.6)、女性が57.8%でした。介入群に70人、対照群に65人が割り付けられ、このうち113人が、入れ替え後の第2フェーズに参加しました(介入群:55人、対照群58人)。
全参加者における解析では、介入群(125人)のARI発生率は24.8%(95%信頼区間[CI]:17.8~32.9)、対照群(123人)のARI発生率は34.2%(26.2~42.9)であり、ARI発生率に有意差は認められませんでした(オッズ比[OR]:0.57、95%CI:0.32~1.04、p=0.07)。
104人の参加者(77.0%)が全試験を完了し、全試験を完了した参加者におけるサブグループ解析では、介入群(104人)のARI発生率は24.0%(95%CI:16.7~32.9)、対照群(104人)のARI発生率は35.6%(95%CI:26.8~45.1)で、介入群のARI発生率が有意に少なかった(OR:0.53、95%CI:0.28~1.00、p=0.048)ことが分かりました。病原体が特定されたARI 36件のうち、SARS-CoV-2が19件(52.8%)、RSウイルスが16件(44.4%)、ライノウイルスが1件(2.8%)でした。
介入群は対照群と比較して、初回のARI感染までの時間を短縮しませんでした。90日以内の感染までの制限平均時間では、介入群では78.1日(SE 2.1)、対照群では74.2日(SE 2.3)で、有意差は認められませんでした(ハザード比:0.67、95%CI:0.42~1.07、p=0.09)。
全体の解析で統計学的に有意な結果認められませんでしたが、全試験を完了した参加者でARIが有意に減少したことは確認されているので、HEPAフィルター付きを空気清浄機がARI予防に有用である可能性はあるかもしれません。今後の調査を待ちたいと思います(決して、安い買い物ではないので、効果があって欲しいな~)。 (小児科 土谷)

