水泳は気管支喘息のリスクでもあり、気管支喘息の呼吸リハビリテーションにもなりうるという二面性を持っています。運動誘発性気管支攣縮は別に水泳に限ったことではないため、多分後者を重視する人の方が多いように思います。
最近はGWを過ぎた辺りから急激に暑くなることも多いため、早いような気もしますが、水泳に関する話題です(The Cochrane database of systematic reviews. 2013 Apr 30;(4);CD009607.)。
18歳以下の喘息患児に対する、水泳の訓練の効果と安全性を調べたシステマティックレビューです。水泳の訓練と他のケアを比較した試験を集め、メタアナリシスが行われ、8試験・262人が組み込まれました。安定した患児から重症の患児まで気管支喘息の重症度はさまざま。水泳の訓練はおおむね30~90分で、週2~3回、期間としては6~12週継続されました。水泳の比較対象としては、通常ケアが7試験、ゴルフが1試験でした。
その結果、水泳は通常のケアやゴルフと比較してQOL、喘息発作、副腎皮質ステロイドの使用というアウトカムに対して統計学的に有意な効果をもたらしませんでした。ただし、水泳は通常のケアと比べて最大酸素消費量、すなわち運動耐容能に効果が認められました。また、呼吸機能検査のパラメータにもわずかながら効果があったと報告されています。
これらの結果から、(プールに使用される塩素の有無で、これらのアウトカムに変化がみられるのかは不明でしたが)少なくとも、水泳が喘息患児に極端な悪さをするものではないだろうと結論付けられました(水泳がベストかどうかは不明)。
これから暑い季節がやってきます。喘息患児にとって、水泳は決して悪いものではありません。
ただ、学校だと外でプールに入ることが多いと思うので、熱中症には気をつけましょうねw (小児科 土谷)