ラプンツェル症候群というものがあります(本当です)。

ディズニー映画になったラプンツェルが由来となった疾患で、異食症のひとつです。

髪の毛を食べてしまうという精神疾患が背景にあり、胃の中に大きな毛玉が形成されるという特徴があります(小腸にまで到達すると腸閉塞を起こしてしまいます)。

基本的に、長い毛髪がある女性にみられる疾患なので、腹痛の男性患者さんを見た際、この病気を鑑別疾患に入れることは、あんまりありません。

僕も勤務医時代に何例か経験がありますが、女性(女児含む)の患者さんばかりでした。

 

男性のラプンツェル症候群の症例が報告されていたので、読んでみました(Journal of surgical case reports. 2023 Oct;2023(10);rjad571.)。

Two cases of Rapunzel syndrome in adult males – PMC (nih.gov)

 

〔1例目〕24歳 男性

主訴と経過:体重減少、食欲減退、腹部の膨満感を伴う進行性の上腹部痛と嘔吐が4週間続くということで病院を受診した。

検査:腹部CT検査で胃と小腸に多数の毛髪が詰まっていると判明。

経過:ストレスが溜まったときに、自分の髪の毛を習慣的に食べていたことが判明。腹腔鏡下で毛髪が除去された。

 

〔2例目〕28歳 男性 (患者背景:アスペルガー症候群)

主訴と経過:1週間続く激しい嘔吐と脱水の病歴で救急部を受診した。2年半にわたって体重減少があり、以前にもさまざまな医療機関を受診していた。

検査:腹部CT検査で消化器系に毛髪が詰まっていることが判明。

経過:開腹手術で毛髪が除去された。

 

長い髪の毛のある女性の方がラプンツェル症候群になりやすいのは間違いありませんが、男性でも、病的に髪の毛を摂取する習慣がある場合は鑑別疾患のひとつに考えなければならないみたいです。

何事も、先入観はいけませんねw (小児科 土谷)