自分が長年腰痛に悩まされているので、腰痛ネタには敏感ですw

医師の共感スキルと慢性腰痛患者の長期的アウトカムとの関連について調査したコホート研究を紹介します( JAMA network open. 2024 Apr 01;7(4);e246026.)。

Physician Empathy and Chronic Pain Outcomes – PMC (nih.gov)

対象は、2016年4月1日~2023年7月25日にThe Pain Registry for Epidemiological, Clinical, and Interventional Studies and Innovation(PRECISION)に登録された21~79歳の慢性腰痛(3ヵ月以上継続)患者で、12ヵ月間追跡されました。医師の共感度は、CARE Measure(患者の視点で医師の共感度を評価するツール)を用いて評価されました。10項目を1(poor)~5(excellent)点で評価し、合計スコアが30点以上の場合は「非常に共感的」、29点以下の場合は「わずかに共感的」な医師に分類されました。主要アウトカムは、患者報告による痛み、機能、HRQOLで、データは登録時および3ヵ月ごとの診察で収集しました。時間的傾向を測定し、ベースラインおよび長期的な共変量を調整するための多変量モデルを含む一般化推定方程式を用いて解析されました。

 

その結果、今回の解析には、1,470例が組み込まれました。

平均年齢は53.1(SD 13.2)歳、女性は1,093例(74.4%)でした。医師を「非常に共感的」と評価した患者群と「わずかに共感的」と評価した患者群のベースライン特性はおおむね同等でした。


医師の共感度が高いほど、患者の12ヵ月後のアウトカムが良好であったことが分かりました。
 痛みの強さ β=-0.014、95%信頼区間[CI]:-0.022~-0.006、p<0.001
 腰痛関連障害 β=-0.062、95%CI:-0.085~-0.040、p<0.001
 HRQOL障害(例:痛みによる生活障害) β=-0.080、95%CI:-0.111~-0.049、p<0.001)


わずかに共感的と評価した群と比較して、非常に共感的と評価した群の患者では、痛みの強さや腰痛関連障害、HRQOL障害の平均スコアが有意に低かったことが分かりました。そして、医師の共感は、非薬物療法やオピオイド療法、腰椎手術よりも良好なアウトカムと関連していました。

 

以上から、患者評価による医師の共感度が高いほど12ヵ月にわたる患者の痛み、機能、健康関連QOLが良好であることが分かりました。

 

自分も年1-2回ペースで「ぎっくり腰」による腰痛に悩まされているので、是非とも!共感スキルに長けた名医に診てもらいたいw (小児科 土谷)