ドーピング(doping)については過去のブログでも触れたことがあります。

当院は小児科ですが、中・高校生まで幅広い患者さんが受診されます。

その中には、勿論アスリートもいる訳ですが、話しを聞いてみると「普通に生活していればドーピング違反になることはない!」と思っている選手が多いのが実情です。

医師の処方薬にも禁止物質は山ほどありますし、市販のお茶などにも禁止物質が含まれるものがあるので要注意です。特に、「ドーピング検査の行われる大会に参加する選手」「国際大会に出場するような、登録選手」は、日頃から自分の経口摂取するもの、肌に塗るもの、には注意が必要です!


もちろん、処方する医師側も注意が必要です。
風邪薬や喘息の薬、花粉症の薬などには禁止物質が含まれているものが多くあります。
たとえ「医師が間違えて処方した」と証明されても、処分されるのは選手です。
スポーツ選手を診療する可能性のある医師はドーピング検査に対する認識を持ちましょう。

 

現状では、スポーツ競技において薬物を使って運動能力を上げることをドーピングといいます。
オリンピックで1960年代からドーピングの検査がなされるようになり、現代に至っています。
当初は薬物の摂取がドーピングの定義でしたが、今では単に筋力増強剤や興奮剤の内服だけでなく、輸血や点滴(医療行為としての点滴は許されます)、注射、隠ぺいする利尿薬、尿をすり替える物理的隠ぺい動作、遺伝子ドーピングなどもドーピングの定義になっています。単に「疲れを取りたい」というだけの、いわゆる「ニンニク注射」でも、ドーピング違反行為になりますし、市販のかぜ薬には興奮剤が入っていることがあり、ハーブ茶などにも違反物質が含まれることがあります。塗り薬もある程度は体内に吸収されるので注意が必要です。


ドーピング検査を気にせずに使える薬については、「薬剤師のためのアンチ・ドーピング防止ガイドブック」が便利です(インターネットでダウンロードできます)。

アンチ・ドーピング活動 |日本薬剤師会 (nichiyaku.or.jp)

『薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック 2023年版』について |日本薬剤師会 (nichiyaku.or.jp)

(写真は2023年のものです)

この「薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック」は、国体実施県の薬剤師会が持ち回りで毎年更新しているガイドブックで、とてもお勧め。

アスリートの診療に携わる医師や薬剤師は一読しておくと良いでしょうw (小児科 土谷)