月末にむけて、1冊読んでみました。

 

「水仙月の四日」 宮沢賢治著

宮沢賢治の作品なので、読んだことがある方も多いのではないでしょうか。

 

雪深い山岳地帯での1夜を描いた物語。

物語は、雪童子と赤い毛布をかぶった子どもが出会う場面から始まります。

雪童子は子供にヤドリギの枝を投げて遊びますが、子どもはそれを拾い、家路を急ぎます。


本書のテーマのひとつは「見えない存在の価値」かな。

雪童子は目に見えない存在ですが、子どもの命を救う重要な役割を果たします。

このテーマは、私たちが普段意識しないものの大切さを教えてくれます。


その後、天候が急変して雪婆んごが現れると、物語は一転します。

雪婆んごは厳しい自然の法則を体現しているかのようです。

そんな雪婆んごから、人間社会とは無縁であるはずの雪童子が、なぜ子供を守ろうとしたのか。

命ある者同士の連帯感を描いたこのシーンは、自然の厳しさと、その中での微細な慈悲の見事な対比でした。


自然との共生や、見えないものへの思いやりを感じることができます。

雪童子が子どもを救う心温まるエピソードがありますが、子どもは最後まで雪童子の存在に気づきません。

何だか雪童子の思いやりがにじみ出ているようで、忘れがたい余韻も心に残りましたw (小児科 土谷)