毎年、暑かったり、寒かったり、大雨だったりで「異常気象だ!」と騒がれますが、気候変動は色々な病気にも影響を与えているようです。

今回は気候変動と神経疾患との関連について調べた論文(The Lancet. Neurology. 2024 Jun;23(6);636-648.)を紹介します。

Climate change and disorders of the nervous system – The Lancet Neurology

1968年~2023年に発表された332件の研究データを分析し、気候変動が2016年の世界疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study 2016)で検討された、脳卒中、片頭痛、アルツハイマー病、髄膜炎、てんかん、多発性硬化症などの19種類の神経疾患、および不安や抑うつ、統合失調症などの精神疾患に与える影響について検討しました。

 

その結果、気候がいくつかの脳疾患に影響を与える明確なエビデンスがあり、特に脳卒中と神経感染症に対する影響が大きいことが示されました。また、気候変動の中でも、極端な気温(高い場合も低い場合も)と気温の日内変動の大きさは脳の疾患に影響を及ぼし、特に、それらが季節的に異常な場合には影響が大きくなることも判明しました。

 

実際、高温の日や熱波が発生しているときには、脳卒中による入院や身体障害の発生、死亡数が増加することが示されました。一方、認知症の人は認知機能障害が妨げとなって環境変化に合わせた行動を取るのが難しいと考えられ、極端な気温のときや洪水や山火事のような自然災害が発生したときに悪影響を受けやすい傾向が認められました。さらに、多くの精神疾患で、高温、気温の日内変動、極端に高い気温と低い気温が精神疾患の発症、入院、死亡リスクと関連していることも示されました。

 

気候変動は、さまざまな神経疾患に大きな影響を与えるようです。

これから暑い季節がやってきます。

体調管理には、一段と気を使わなければなりませんねw (小児科 土谷)