新型コロナ感染症は、回復後に後遺症が続くことが、嫌なところです。
COVID-19の治療薬であるパキロビッドが後遺症症状に効くかどうか調べた論文(JAMA Intern Med. Published online June 7, 2024. doi:10.1001/jamainternmed.2024.2007)を簡単に紹介します。
スタンフォード大学の研究グループによる論文です。
新型コロナ患者(ほとんどがワクチン2回接種済患者で、年齢の中央値が43才)にパキロビッドあるいはプラセボを15日間投与して後遺症に対する効果を調べたランダム化臨床試験です。
臨床試験の結果、パキロビッドの15日間投与は大きな副反応はもたらさなかったものの、後遺症症状(疲労感、ブレインフォグ、からだの痛み、心血管症状、息切れ、胃腸症状など)を有意に軽減させる効果も認められませんでした。
ということで、「SARS-Cov-2にかかってもパキロビッドがあるから大丈夫」とは言えないことがわかりました。
COVID-19の場合、感染を繰り返すと後遺症の発症リスクが次第に上がっていくことが過去の研究からわかっています。SARS-Cov-2にはできるだけかからないようにすることが本当に大事です(特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方々)。
そして、もし「罹患したかな?」と思ったら、なるべく他人に広げないようにすることが大事です。 (小児科 土谷)