コロナ禍を経て、世界の平均寿命はどうなったのでしょうか( Lancet . 2024 May 18;403(10440);2204-2256.)。
204の国と地域、21のGBD地域、7つのスーパーリージョン(GBDが疫学的類似性と地理的近接性に基づき設定した地域区分)、および世界全体の2022年から2050年までの原因別死亡率、損失生存年数(YLL)、障害生存年数(YLD)、障害調整生存年数(DALY)、平均寿命、および健康寿命(HALE)を予測しました。
その結果、世界全体で平均寿命は2022年から2050年にかけて73.6歳から78.2歳へ延びると予測されました。男女別に見ると、男性では71.1歳から76.0歳へ4.9年の増加、女性では76.2歳から80.5歳へ4.2歳の増加でした。また、同期間に健康な状態で生きる年数(健康寿命:HALE)は、男性では62.6歳から66.0歳へ、女性では64.7歳から67.5歳へ延びると予測されました。さらに、全体的な平均寿命の延長に加え、地域間の平均寿命の格差が縮小することも予測されました。
一方、平均寿命に影響を与える疾患に変化が起きていることも明らかになり、今後、平均寿命の長さには、感染症よりも心臓病や糖尿病、がん、肺疾患などの慢性疾患が与える影響の方が強まることが予測されました。
近年、増加しつつある代謝や食事のリスク因子、特に高血糖や高BMI、高血圧などの行動要因および生活習慣要因に関連するリスク因子に先手を打つことで、世界中の人々の健康の未来に良い影響を与えることが出来るかもしれません。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も予防が大事でしたが、生活習慣病も発症予防が大事です。
自分の将来のために、日々の生活を見直してみるのも良いでしょう。 (小児科 土谷)