歯周病は歯を失う主な原因であるほか、糖尿病、早産、心臓病、関節リウマチ、がんとも関連することが分かっています。
歯周病の主な原因菌であるP. gingivalisを含む口腔内細菌に対する抹茶溶液の有効性について検討した論文( Microbiology spectrum. 2024 May 21;e0342623. doi: 10.1128/spectrum.03426-23.)を紹介します。
Multimodal inhibitory effect of matcha on Porphyromonas gingivalis | Microbiology Spectrum (asm.org)
3種類のP. gingivalis株を含む16種類の口腔内細菌に対する抹茶溶液の有効性をin vitroで検討しました。
細菌を培養して抹茶溶液に曝露させたところ、2時間以内にほぼ全ての、4時間後には全てのP. gingivalisが死滅したことが確認され、抹茶にP. gingivalisに対する抗菌作用のあることが示唆されました。
次に、歯周病と診断された45人を対象にランダム化比較試験を実施しました。
対象者は、1)麦茶のマウスウォッシュ、2)抹茶エキス含有のマウスウォッシュ、3)炎症治療作用のあるアズレンスルホン酸ナトリウム水和物を含むマウスウォッシュのいずれかで、1日2回のうがいを1カ月間行う群にランダムに割り付けられました。
対象者から介入の前後に採取した唾液検体を比較したところ、抹茶エキス含有のマウスウォッシュでうがいをした群では、口腔内のP. gingivalisの数が有意に減少していることが明らかになりました。他の2群では、このようなP. gingivalisの減少は認められませんでした。
以上から、抹茶には歯周病の主な原因菌であるPorphyromonas gingivalisの増殖を抑制する効果のあることが明らかになり、人を対象にした臨床試験でも、抹茶でうがいをした人では、口腔内のP. gingivalisの数が介入前と比べて減少することが確認されました。
日本人になじみ深い「抹茶」の意外な効果に驚きですねw (小児科 土谷)