食事とアトピー性皮膚炎との関連性に関する論文(JAMA dermatology. 2024 Jun 05; pii: e241544.)です。

Sodium Intake and Atopic Dermatitis | Allergy and Clinical Immunology | JAMA Dermatology | JAMA Network

 

尿中ナトリウム量をマーカーとした食事からの推定ナトリウム摂取量と、アトピー性皮膚炎の関連性について横断研究を行い調査しました。英国のUK Biobankに登録された成人(37~73歳)を対象として、2006年3月31日~2010年10月1日に採取された単一スポット尿サンプルを用いて24時間尿中ナトリウム排泄量を調査しました。

主要アウトカムは、電子医療記録の診断・処方コードに基づく、アトピー性皮膚炎または活動性アトピー性皮膚炎で、年齢、性別、人種・民族、社会的格差(タウンゼント剥奪指標)、教育レベルで補正した多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、その関連性を検討しました。

 

その結果、対象は21万5,832例(年齢[平均値±標準偏差]56.52±8.06歳、女性54.3%)でした。推定24時間尿中ナトリウム排泄量(平均値±標準偏差)は3.01±0.82g/日であり、アトピー性皮膚炎の診断例は1万839例(5.0%)でした。


多変量ロジスティック回帰分析において、推定24時間尿中ナトリウム排泄量の1g増加は、アトピー性皮膚炎(補正後オッズ比[aOR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.07~1.14)、活動性アトピー性皮膚炎(同:1.16、1.05~1.28)、およびアトピー性皮膚炎重症度(同:1.11、1.07~1.15)と、いずれも正の関連を示したことが分かりました。

また、米国国民健康栄養調査の1万3,014例を対象とした検証コホートでは、食事思い出し法を用いて推算した食事によるナトリウム摂取量の1g/日増加は、アトピー性皮膚炎のリスク上昇と関連していました(aOR:1.22、95%CI:1.01~1.47)。

 

以上から、ナトリウム摂取量(塩分摂取量)が増加するとアトピー性皮膚炎の罹病リスクが上昇したことが分かりました。

 

どういうメカニズムでアトピー性皮膚炎の罹病リスクが上昇するのか、今後の報告に興味が沸くところです。

食事中の塩分制限することもアトピー対策になる日もやってくるかもしれませんねw (小児科 土谷)