(これまでにも指摘されていますが)SARS-Cov-2ウイルスに感染することで変性疾患を発症するリスクが上がることが知られていますが、今回はそれに関連した内容です(Lancet Neurol. 2024 Jun;23(6):562-563.)。

SARS-CoV-2 infection as a cause of neurodegeneration – The Lancet Neurology

 

既報の3つの論文から、COVID-19で脳血管障害および神経変性疾患のリスクが増加するのかについて検討した小論文が報告されました。

 

その結果、COVID-19感染後6ヶ月間の虚血性脳卒中のリスクは2.8倍、12ヶ月間では2.7倍に増加していました。

神経変性疾患に関しては,6ないし12ヶ月後の相対危険度はアルツハイマー病で3程度で、入院と外来でほとんど変わりませんでした。パーキンソン病も外来患者で相対危険度が2.5程度でした。

神経炎症や酸化ストレス、アミロイド形成などが神経変性の発症メカニズムとして推測されていました。

 

以上から、SARS-Cov-2に感染することで、神経・血管における炎症が引き起こされ、long COVID(疲労やブレインフォグ)だけでなく、脳梗塞、血管性認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病発症リスクが上がる可能性があることが分かりました。

 

高齢者や基礎疾患のあるハイリスク群に該当する方は、感染の波に応じた感染対策とワクチン接種を行いましょう。 (小児科 土谷)