久しぶりに、小児科らしく絵本を紹介します。

有名な絵本ので、実際に手に取ったことがある保護者の方も多いのではないでしょうか?

 

《かいじゅうたちの いるところ》 作:モーリス・センダック 訳:じんぐうてるお

独特のオーラを撒き散らす絵本の世界です。

 

オオカミの縫いぐるみを着て大暴れしたマックスは怒ったお母さんに夕食ぬきで寝室に放り込まれてしまいます。

そこはいつの間にか森や野原になり、ボートで航海して着いたところは「かいじゅうたちのいるところ」
『すごい こえで うおーっと ほえて』
『すごい めだまを ぎょろぎょろ させて』
『すごい つめを むきだす』


センダックの描くかいじゅうたちの描写はとても独創的で秀逸です。

不格好なパーツをそなえた体、大きすぎる目、といった野生の生きものたちは、恐ろしげに見えるかと思えば、ユーモラスで快活な姿でページに登場しています。特に、見開き3ページに渡る「かいじゅうおどり」のシーンはとても素晴らしいw


ホームシックになったマックスが帰る際、かいじゅうたちは泣くのです。
「おねがい。いかないで。おれたちは たべちゃいたいほど おまえが すきなんだ。たべてやるから いかないで。」

 

 

最後は「我が家に勝るものなし」とあらためてうなずかせられてしまいます。

「子どもの時に空想の世界を旅した人は、大人になった時、目には見えない大切なものが見える人になれる。かいじゅうたちのいるところ・・・それは君の心の中さ」

まるで、センダックの声が聞こえてくるようです。

 

子どもだけではなく大人も楽しめる数少ない絵本のひとつですねw (小児科 土谷)