そういえば、以前「細気管支炎例に対する高張食塩水吸入に関するネタもあったな」と思っていたところに見かけた話題です。
今回は、上気道感染症を有する小児に対する高張食塩水の点鼻の有用性を検討する無作為化比較試験「ELVIS-Kids試験」を紹介します。
Study Details | Edinburgh and Lothian Virus Intervention Study in Kids | ClinicalTrials.gov

本研究は、0~6歳の小児407例を対象としました。
高張食塩水を点鼻する群(食塩水群)と通常どおりの治療を行う群(通常治療群)に1対1に無作為に割り付け、上気道感染症の発症がみられた301例に対して割り付け治療を実施しました。
食塩水群は、各鼻孔に3滴ずつ1日4回以上の高張食塩水(2.6%)の点鼻を症状が改善するまで行いました。評価項目は、日誌評価に基づく上気道感染症の症状、喘鳴など。
その結果、有症状期間中央値は、通常治療群が8日(四分位範囲:5~11)であったのに対し食塩水群は6日(同:5~9)であり、食塩水群が有意に有症状期間が短縮しました(p=0.004)。
症状が認められてから24時間以内に点鼻を開始したサブグループでは、食塩水群で有症状期間が有意に短縮したものの(p=0.002)、24時間超経過してから点鼻を開始したサブグループでは、有症状期間の短縮はみられませんでした。
ライノウイルスのみが検出されたサブグループにおいて喘鳴がみられた割合は、通常治療群が18%であったのに対し食塩水群は4%であり、食塩水群が有意に低かった(p=0.014)ことが分かりました。
また、対象となった患児の家族に上気道感染症の発症がみられた割合は、通常治療群が61%であったのに対し食塩水群は46%で、食塩水群が有意に低かったことが分かりました(p=0.008)。市販薬の使用は、通常治療群が36%であったのに対し食塩水群は25%で、食塩水群で有意に少なかった(p=0.04)ことも分かりました。
以上から、上気道感染症を有する小児に高張食塩水を点鼻することで有症状期間の中央値が2日短縮することが示されました。
風邪症候群に対するホームケアの在り方も、今後アップデートされていくかもしれませんねw
今後の報告に期待ですね。 (小児科 土谷)


