レジリエンスとはいわゆる「精神的回復力」のことです。

高齢者では、適切なストレスに対処する能力が、長期的な健康問題やそれに伴う障害の影響を軽減する助けになることがあることが知られています。では、レジリエンスにそのような効果はあるのでしょうか?(BMJ mental health. 2024 Sep 03;27(1); pii: e301064.)

Association between psychological resilience and all-cause mortality in the Health and Retirement Study | BMJ Mental Health

 

50歳以上の人を対象とした米国の「健康と退職に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)」のデータを用いて、レジリエンスとあらゆる原因による死亡(全死亡)との関連について検討しました。本研究では、調査内容にレジリエンスが含められた2006年以降の2回分(2006〜2008年)の調査データが用いられました。

調査参加者は、忍耐力、冷静さ、目的意識、自立心などの資質を測定する尺度により評価されたレジリエンスのスコアに応じて、最も低いQ1群から最も高いQ4群の4群に分類されました。解析は、調査データが全てそろった1万569人(平均年齢66.95歳、女性59.84%)を対象に行われ、対象者の死亡については2021年5月まで追跡されました。

 

追跡期間中に確認された全死亡件数は3,489件でした。

解析結果、レジリエンスと全死亡はほぼ線形関係にあることが分かりました。

10年間の生存率は、Q1群で61.0%、Q2群で71.9%、Q3群で77.7%、Q4群で83.9%でした。

到達年齢、性別、人種、BMIを調整した解析から、Q4群ではQ1群に比べて全死亡リスクが53%有意に低いことが分かりました(ハザード比0.473、95%信頼区間0.428〜0.524、P<0.0001)。交絡因子に糖尿病や心臓病、がん、高血圧などの基礎疾患を含めて解析すると、この関連性は弱まって46%の低下に、さらに喫煙状況や運動習慣、婚姻状況も含めた場合には38%の低下となりました。

以上から、レジリエンス(精神的回復力)のレベルが最も高い人は最も低い人に比べて、今後10年以内に死亡するリスクが53%低いことが示されました。

 

自分の場合、精神的回復力は低くない方だと思っていますが、病弱なのでそっちの方をなんとかしたいと思ってますw (小児科 土谷)