子どもたちの新型コロナ感染による健康上の問題について取り上げた論文(J Pediatr. 2024 Oct 17:114370. doi: 10.1016/j.jpeds.2024.114370. )の概略を紹介します。
イギリスでは2020年3月~2023年8月末までに、18才以下の年齢層(約1,190万人)において、約4万6千人がCOVID-19で入院しました。
流行当初は入院者の約1割がMIS-C/PIMS(小児COVID-19関連多系統炎症症候群)を示したものの、オミクロン株になってからはその割合は入院者全体の0.8%と大きく減少しました。しかし、重症者は入院者の数%で見られており(武漢株流行時で8.9%、アルファ株で7.1%、デルタ株で4.0%、オミクロン株で4~5%)、死亡例は452名(コロナ関連死266名、コロナによる死亡186名)にのぼりました。
COVID-19で入院した小児は、ワクチン接種を受けていない1才以下の子どもが多く、オミクロン株感染時では入院者の約5割を占めていました。1才以下の子どもの入院者の場合、持病があったのは約1割で、残りの約9割には持病は認められませんでした。
論文中では、「1才以下の子どもがCOVID-19の影響を最も受けている年齢層である。これはこの年齢層がウイルスに対する免疫力が最も低く、呼吸器疾患に最も脆弱であるためである」と記されており、妊娠中のお母さんへのワクチン接種を勧めるとともに、生後6カ月から5歳までの年齢層に対してもワクチン接種を考慮すべきかもしれないとしています。
子どもといっても、新生児・乳児から小中学生まで様々なわけで、「子どもはCOVID-19では重症化しない」と決めつけてしまうのは危険です。
特に、1才以下の子どもはCOVID-19に弱いため、特に注意しましょう。 (小児科 土谷)


