昨日に引き続き、小児のCOVID-19に関する話題です。
ワクチン接種をしていない子どもたちでは、実際にどのような頻度でどのような健康被害が見られたのか調べたアメリカの論文概略(Influenza Other Respir Viruses. 2024 Oct;18(10):e70022. )を紹介します。
Incidence and Risk of Coronavirus Disease 2019 Hospitalization Among Unvaccinated Children – PMC
2020年3月1日~2022年12月31日までの間に、ワクチン未接種の約110万人の小児のうち、423人が新型コロナで入院をしました。入院したのは生後6ヵ月以下の小児が一番多く、10万人当たりの入院者頻度をウイルス株ごとに見ると、デルタ株以前で7.0、デルタ株で12.3、オミクロン株で22.4と、明らかにオミクロン株感染で入院頻度が高かったことが明らかになりました。
入院リスクは、小児全体と比べて、黒人系では2.05倍、ヒスパニック系では1.82倍高く、また基礎疾患のある小児の入院リスクはそうでない小児と比べて3.81倍高かったことがわかりました(入院頻度には人種差があり、基礎疾患のある小児で高かった)。
入院者のうちでICU入室をしたのは20.3%と頻度が高く、なかでも12才以上18才以下の年代では36.1%でした(ICU入室者の91.8%は基礎疾患なし)。
以上の事実から考えると、ワクチン未接種の場合、小児でも重症化することがあることがわかります。
論文では「18才以下の年代層であっても、ワクチン接種ができる人はワクチン接種をしたほうが良い」と述べられています。
日本の場合に、今回の結果がそのまま当てはまる訳ではありませんが、日本で感染が広がれば同様のことが起きる可能性があります。
小児のCOVID-19に関して、さまざまなデータが集まりつつあります。
小児のCOVID-19問題は新たな知見をもとに、考え直すべき時期に来ているのかも知れませんね。 (小児科 土谷)

