新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが園児の発達にどのような影響を及ぼしたのかについての報告( JAMA pediatrics. 2025 Mar 10; doi: 10.1001/jamapediatrics.2024.7057.)を紹介します。
COVID-19 Pandemic and the Developmental Health of Kindergarteners – PMC
2010年から2023年にかけて米国の園児47万5,740人(平均年齢6歳、男児51.1%)を対象に、反復横断パネル研究を実施し、COVID-19パンデミックが園児の発達に与えた影響を調査しました。発達状況は、Early Development Instrument(EDI)により、1)身体的健康およびウェルビーイング、2)社会的コンピテンス、3)感情的成熟度、4)言語・認知発達、5)コミュニケーション能力・一般知識の5領域について評価されました。
その結果、2018〜2020年のパンデミック前コホート(11万4,359人)と比較して、2021〜2023年のパンデミック後コホート(8万5,827人)では、言語・認知発達(平均変化−0.45、95%信頼区間−0.48~−0.43)、社会的コンピテンス(同−0.03、−0.06~−0.01)、コミュニケーション能力・一般知識(同−0.18、−0.22~−0.15)が有意に低下していました。その一方で、感情的成熟度は有意に上昇していました(同0.05、0.03~0.07)。身体的健康およびウェルビーイングについては、有意な変化は見られませんでした。
以上から、パンデミック発生後(2021〜2023年)の園児は、パンデミック発生前(2018〜2020年)の園児と比べて、言語・認知発達、社会的コンピテンス、コミュニケーション能力、一般知識の平均スコアが有意に低いことが明らかになりました。
言語と認知発達、コミュニケーション能力・一般知識の領域への影響は、学校閉鎖とオンラインでの学習環境が原因なのでしょうか(他者と日常的に関わる機会もかなり制限されましたし…..)。
また、園児の感情的成熟度が高まっていた原因として、著者らはパンデミック中に、COVID-19による死者数、経済的負担、健康不安、ニュース報道などの大人にとってのストレス要因にさらされる機会が増えたことを一因として挙げています。
今回はCOVID-19でしたが、感染症によるパンデミックが園児の発達に与える影響が大きいことを考えると、次に備えて、今出来ることを日頃から少しずつ積み上げていくしかありません。 そのために、今回のパンデミックの総括を国・自治体として、きちんと出す必要があると思います。 (小児科 土谷)

