今日は病院内の環境に関する話題にします。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で、飛行機や施設内での新型コロナウイルス感染リスクが深刻に懸念されていたのは覚えている方も多いと思います。

そこで今回のテーマです。

飛行機や病院内の空気に含まれている微生物はどんなものが優勢なのでしょうか?( Microbiome. 2025 Dec 04;13(1);249. pii: 249.)

Metagenomic profiling of airborne microbial communities from aircraft filters and face masks | Microbiome

 

今回、使用済みマスクの外側表面と航空機のエアフィルターから微生物を回収し、そこに含まれるDNAを抽出してショットガンメタゲノム解析を行いました。

解析には、8,039時間使用された後に回収された航空機のエアフィルター1つと、飛行機利用者10人と、勤務後の医療従事者12人から入手した使用済みマスクが用いられました。

 

解析の結果、407種類の微生物種が確認されました。

飛行機のフィルターでも医療従事者や旅行者のマスクでも共通して高頻度で認められたのは、Cutibacterium acnes、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus hominisなどの皮膚常在菌でした。屋内の空気は『屋内の空気らしい微生物構成』をしており、人の皮膚の常在細菌と類似していました。

その一方、Sphingomonas hankookensisやMethylobacterium radiotoleransなどの環境由来の細菌も、特にエアフィルターから高い頻度で検出され、大腸菌や緑膿菌、サルモネラ菌など、病原性を持つ可能性のある細菌もわずかに検出されていましたが、いずれも極めて低レベルであり、活性や感染の兆候は認められませんでした。

 

以上から、飛行機や病院などの屋内の空気は比較的安全であることが分かりました。

 

ちなみに、環境表面からの病原体の伝播(接触感染)を防ぐ上では、手指衛生は依然として有効です。基本的な感染対策はきちんと行いましょう。 (小児科 土谷)