食品や水,大気などから体内に取り込まれるマイクロ・ナノプラスチック(MNPs)と心血管障害や認知症との関連が近年指摘されていますが、パーキンソン病(PD)の発症や進行にも深く関与するらしいです(Erro R, et al. Plastamination: A Rising Concern for Parkinson’s Disease. Movement Disorders. 2025.)。
ちなみに、表題にある「プラスタミネーション(plastamination)」は,2024年提唱(Santoro et al., Curr Neuropharmacol 2024)された新語で、「plastic(プラスチック)」と「contamination(汚染)」を組み合わせたものです。
この総説では、MNPsが血液脳関門を通過して脳に蓄積することを裏付ける複数の研究が紹介されており、脳がプラスチック粒子を効率的に除去できない臓器であることを明確に示唆しています。
また、プラスチックは口腔摂取や吸入に加え,嗅神経を介しても脳に到達することが紹介されています(Amato-Lourenço et al., JAMA Netw Open 2024)。剖検例の検討で、15名のうち8名(53%)の嗅球にマイクロプラスチック(MPs)が確認されていました(ポリプロピレンが最も多く,ついでナイロン,ポリアミド,ポリエチレンビニルアセテートなど)。MPsが嗅球に存在するということは、空気中のプラスチック粒子が鼻腔の嗅上皮から篩骨篩板を経由して中枢神経系に移行する可能性を示唆しています。
さらに、本著では腸内環境の変化がPDに与える影響にも注目しています。MNPsが腸内細菌叢を変化させ、腸管バリアを破壊し、炎症を引き起こすことが知られており、これがα-シヌクレイン(α-syn)の異常折りたたみを促し、腸から脳への伝播を引き起こす可能性があるらしいです。またMNPsがα-synそのものと直接結合し、その凝集を促進することも分かっています(Ghosal et al., J Phys Chem Lett 2024/Liu et al., Sci Adv 2023)。
MNPsによるドパミン神経系への影響も紹介されています。C57BL/6Jマウスにポリスチレンナノプラスチックを28日間経口投与すると、血液脳関門を通過して脳内に移行し、黒質や線条体でATPの減少や関連遺伝子の発現低下を引き起こし、運動機能の低下やPD様の神経変性所見が生じていたことが分かりました(Liang et al., J Hazard Mater 2022)。snRNA-seqでは、とくに興奮性ニューロンでエネルギー代謝障害とミトコンドリア機能障害が顕著で、細胞モデルではMNPsがミトファジー過剰誘導と細胞死を引き起こすことも報告されています(Huang et al., Part Fibre Toxicol 2023)。

プラスチック汚染はOECDの将来予測によると、2040年までに倍増することが予測されています。今のうちから、リスク回避・リスクを最小限に抑えるために取り組んでいって欲しいと思います。「空気中のプラスチック粒子が鼻腔の嗅上皮から篩骨篩板を経由して中枢神経系に移行する可能性」を考えると、個人的には、医療従事者が毎日着けている不織布マスクも問題かなと。。不織布マスクに代わる、安価で高性能なマスクを誰か開発してくれないかなw (小児科 土谷)

