エマージング・ウイルスとは、突如として出現してくる(emerging)ウイルスのことです。
もともと密林などの自然界奥深くに隠れていたウイルスですが、熱帯雨林の伐採による人の自然界への侵入や野生動物の捕獲・売買などによる自然環境の破壊とともに、突如新たなウイルスが世界にあらわれ、さらにウイルスが変異するにつれて、人に対して強い感染性や病原性を示すようになり、新興感染症と呼ばれるようになります。身近なところでいうと、新型コロナウイルス、エボラウイルスなどがその例です。
このエマージング・ウイルスに関連した記事をNatureに見つけたので紹介します。次のパンデミックを引き起こしかねない野生動物市場についてです。
Exclusive: Inside the thriving wild-animal markets that could start the next pandemic
記事中には「生きた動物を扱う市場は、ウイルスが進化して致命的な感染拡大を引き起こす天然の実験室であるが、科学者にはそれらがもたらすリスクを研究するための支援が不足している」と書かれています。
中国や東南アジア諸国では野生動物の売買が広く行われていて、殆ど規制されてない状態であり(中国では規制されているが、闇市場が横行)、いつ次のエマージング・ウイルスが人に感染してパンデミックを起こしてもおかしくない状況が描かれています。
野生動物市場ではしばしばセンザンコウが売られていますが、市場で売られていたセンザンコウからは数種類のコロナウイルスが検出され、その一部はゲノム的にヒトの新型コロナウイルスとよく似ていたとのことです。また、何種類ものコロナウイルスを持つことが知られるコウモリもよく売られているとのこと。
人工的にウイルスなど作らなくても、野生動物のウイルスが人間の世界に飛び込こんでくるような状況が今そこにある、そして、そんなウイルスに変異が重なると、いつかまたパンデミックをもたらすかも!?と考えると背筋がゾッとします。今後、厄介なウイルスがまた拡がらないことを祈るばかりです。 (小児科 土谷)


