外来で小児にも漢方薬を使用しますが、今日は花粉症でよく使う小青竜湯についての話題(Pharmaceutics 2022, 14(10), 2083;https://doi.org/10.3390/pharmaceutics14102083)です。

Shoseiryuto Ameliorated TDI-Induced Allergic Rhinitis by Suppressing IL-33 Release from Nasal Epithelial Cells

 

トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate:TDI)は、職業性喘息および鼻炎の主要な原因物質の一つです。

小青竜湯(Shoseiryuto:SST)はアレルギー性鼻炎(allergic rhinitis:AR)や喘息などのアレルギー疾患に対する漢方薬として長年使用されています。

近年の研究で、上皮細胞において Th2サイトカイン応答を制御するIL-33の発現および放出が、鼻粘膜における炎症反応の発症において重要なステップであることが示されていることから、本研究ではSSTがTDI誘発アレルギー性鼻炎モデルラットにおける症状を改善し、鼻上皮細胞からのIL-33放出を抑制するか否かを検討しました。

 

TDIによる感作および惹起によりARラットモデルを作製し、感作期間中にSSTを投与しました。ラットのAR関連症状を評価するとともに、IL-33の放出をin vivoおよびin vitroで測定しました。

 

その結果、SST投与により、TDI誘発ARモデルラットに認められた血清ヒスタミン値の上昇や、鼻腔洗浄液(nasal lavage fluid:NLF)および血清中のIL-33濃度の上昇が有意に抑制されていたことが分かりました。また、TDIにより誘導される鼻上皮細胞核からのIL-33放出は、SST投与ラットおよび培養鼻上皮細胞のいずれにおいても抑制されていました。

 

以上の結果から、SSTは鼻上皮細胞からのIL-33放出を抑制することにより、少なくとも一部はTDI誘発アレルギー性鼻炎の症状を改善する可能性があることが分かりました。

 

(研究の限界として)SSTがどのような分子機構を介して上皮細胞からのIL-33放出を抑制しているのかは明らかにされていませんが、小青竜湯(SST)はTDIによるARのみならず、他のアレルゲンによって引き起こされるARに対しても高い有用性が期待されるものと思われます。 (小児科 土谷)