これから食中毒が気になる季節になるので、それに関連した話題です。

落とした食べ物に関する「3秒ルール(国によっては5秒ルール?)」という都市伝説は科学的に正しいのか?微生物が食べ物に移るかどうかでこれを検証した論文(J Appl Microbiol. 2007 Apr;102(4):945-53.)を紹介します。

Residence time and food contact time effects on transfer of Salmonella Typhimurium from tile, wood and carpet: testing the five‐second rule | Journal of Applied Microbiology | Oxford Academic (oup.com)

 

サルモネラ菌が木・タイル・カーペットからボロニアソーセージ・パンへ移るかどうか、接触時間5秒・30秒・60秒の3パターンで検証しました。その結果、5秒・30秒・60秒のいずれにおいても、ほぼ同じ菌数が食べ物に移動することが分かりました。

 

また、エンテロバクター菌を用いた研究では、ステンレス・タイル・木・カーペットから、スイカ・パン・バター付きパン・グミに短時間で移るかどうか検証(12.5センチメートルの高さから食べ物を2,560回も落として検証)しました。

Longer Contact Times Increase Cross-Contamination of Enterobacter aerogenes from Surfaces to Food | Applied and Environmental Microbiology (asm.org)

その結果、長く付着している方がたくさんの微生物が移動しましたが、1秒未満で・瞬間的に微生物が移動することも示されました。そして水分が多い食べ物では、1秒未満で微生物が移動し、落ちた先がカーペットなどの特定の条件下では移動しにくいことも分かりました。

 

何にせよ、短時間だからといって微生物が移動しないということはなさそうです。

以前にも書きましたが、これからの6月は細菌による食中毒が増える時期です。衛生管理をきちんと行いましょう! (小児科 土谷)